ただし、北京五輪の2008年とロンドン五輪の2012年は、リーマン・ショックと欧州債務危機の影響で成長率は落ちており、五輪パワーも金融危機には太刀打ちできないことがわかる。
日本国内をみても、五輪のメダル獲得率の高い年は景気拡張局面と重なることが多い。メダルの数は多ければ多いほど、景気や株価に好影響を与えている。
過去には高橋尚子選手らが五輪での活躍で国民栄誉賞を受賞したが、スポーツ選手の同賞受賞は景気拡張局面にあたる傾向が強い。没後の受賞が多い文化人と違って、結果を出してすぐの受賞となるケースが多いので、より盛り上がるのではないだろうか。
リオ五輪でも国民栄誉賞級のインパクトある金メダリストが現われれば、経済に追い風となるだろう。たとえば、日本人初のテニス4大大会ファイナリストとして人気の高い錦織圭選手や、体操男子個人総合で世界選手権6連覇中の内村航平選手が団体と個人総合のダブルで金メダルを獲得すれば、受賞は十分ありえる。
【PROFILE】たくもり・あきよし:さくら証券、さくら投信投資顧問のチーフエコノミストを経て現職。ESP景気フォーキャスト調査委員会(日本経済研究センター)委員、景気ウォッチャー調査研究会(内閣府)委員。著書に『ジンクスで読む日本経済』など。
※マネーポスト2016年新春号