スポーツ

箱根駅伝大好きな梅干し店店主 観客のために数々の配慮を行う

 もはや正月の風物詩となっている箱根駅伝。地元の人々にとっては、本当に大切な大会となっているという。箱根湯本の商店街に入ると、その店はある。老舗梅干し店『村上二郎商店』だ。店主の村上高嶺さん(71才)が営むこの店は、駅伝の訪れを箱根の街に知らせる“看板店”。5区の小田原中継所を過ぎて、箱根湯本に入るとすぐに見えるこの店は、ファンの間でも有名スポットになっている。

「箱根湯本駅に入ると、テレビ中継でいちばん最初に見えるのがこのお店の垂れ幕です。その垂れ幕を見ると、“いよいよ箱根だ、山登りだ!”という気持ちになって盛り上がるんですよ」(駅伝ファンの男性)

 20才の頃、応援に熱が入りすぎたあまり、選手について横浜まで併走してしまったというほど、“駅伝愛”の強い村上さんの店には、毎年12月1日になると、「青山学院大学」と書かれた大きな垂れ幕と横断幕がかかる。

「これは青学から借りているとか、頼まれているとかじゃないんだよ。全部自費で、自分で注文してやってるんだ。何十万じゃ足りない年もあるよ。毎年11月半ばになると、看板屋さんから『12月1日でいいですか?』って連絡がくる。うちの長男(45才)が青学出身で、2009年に33年ぶりに箱根に出るって決まったときに応援することにした。

 一昨年まではずっと、兄貴の出身校の神奈川大学の垂れ幕も出してたんだけど、2枚は置けなくて今は青学だけ。誰に頼まれたわけでもない。本気の応援団という気持ちでやっているんだ。うちは親父の代からファンだから」(村上さん)

 亡くなってしまった父と一緒に、村上さんは何十年も前から、妻たち家族とともに店の前に集まる見物客に振る舞い酒をしたり、駅まで応援する観客に甘酒やコーヒーなどを振る舞っている。なかには、20年、30年の“常連客”もいると いい、村上さんは2日の朝7時から掃除をして、常連客のための席も用意するという。

「車椅子の人もいるし、年をとると立って見てるのがつらいから。椅子には名前を張って、見に来たら座れるようにしてる」(村上さん)

 また、横断幕とともに名物になっているのが、店の脇に置かれる手作りの順位速報パネルだ。各大学のカラーTシャツを駒にして、大磯、小田原、湯本、宮の下…と各ポイントごとに、パネルの上の駒を動かし、30分ごとに順位速報を出している。

「これは次男(42才)が始めたもので、スタートしてからテレビやスマホで情報収集して全20校の速報を出すんです。だから次男はテレビと携帯画面につきっきりで、選手たちが店の前まで来ても全く見てないの。せっかく生で見られるのにね(笑い)。あとは観戦ガイドのようなものを趣味で100枚くらい作って配っているよ。自分にとっては本当に趣味なんだけど、おかげさまで名物なんて言ってもらえて、店の前にたくさんの人が集まってくれるようになってうれしいね」(村上さん)

※女性セブン2016年1月21日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン