しかし、その中曽根氏でさえ1986年に衆参同日選に踏み切って大勝したものの、衆参ともに3分の2には届かず、憲法改正発議に手をつけることはできなかった。もし、安倍首相が今夏のダブル選挙に勝利し、改憲発議へと進むことができれば中曽根氏を上回る実績となる。それだけではない。
中曽根氏はダブル選挙勝利の功績で自民党総裁任期(※注)を延長して約5年の長期政権を維持し、1997年に議員在職50年のタイミングで最高位の勲等である「大勲位」(大勲位菊花大綬章)を生前授与された。
【※注/当時は1期2年で、最長2期4年までと党則に定められていた(現在は2期6年まで)】
戦後定められた「宮中席次暫定規程」によると、大勲位の宮中での席次は現職総理より上とされている。
大勲位の授与基準は「総理大臣の在任期間、功績を総合的に判断する」(内閣府賞勲局)というが、戦後の生前授与者は長期政権を誇った吉田茂氏、佐藤栄作氏、中曽根氏の3人だけであり、中曽根氏の「在任5年」が生前授与の目安とされる。
安倍首相の在任期間はこの4月に池田勇人元首相を抜いて戦後歴代5位となり、総裁任期である2018年9月まで首相を務めると、在任期間は通算6年9か月で中曽根氏を上回り、「大勲位」の有資格者になるのは間違いない。そうなれば名実ともに中曽根氏を超える。
※週刊ポスト2016年2月5日号