国内

産経・加藤達也氏 出国禁止→解除を井沢元彦氏と語り合う

産経新聞前ソウル支局長の加藤達也氏

 実に500日。執筆したコラム記事が「朴槿恵大統領への名誉毀損」にあたるとして起訴された産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長は、17か月にわたり法廷闘争を繰り広げた。昨年末ようやく無罪が確定したが、記者の仕事と朴政権との「500日戦争」を通じて韓国を“体感”した加藤氏は、慰安婦問題に関する日韓合意について懐疑的だ。そして、長く韓国を見てきた作家の井沢元彦氏も、「また蒸し返してくるのではないか」と懸念を示す。韓国に通じた2人が日韓関係の行方を語り合った。

井沢:このたびは本当に大変でしたね。長い間、お疲れ様でした。

 はじめに事件を整理させてください。韓国の大手紙・朝鮮日報がセウォル号沈没当日(2014年4月16日)、朴槿恵大統領が男性と会っていたという噂をもとに記事を掲載した。加藤さんはこの記事を引用してコラムを書いた。

 しかし検察が、朴大統領への名誉毀損で起訴したのは加藤さんだけです。発端である朝鮮日報はお咎めなし。まずそこが腑に落ちません。

加藤:朝鮮日報は朴政権と関係が近いから、検察としても切り分けたい思惑があったようです。もうひとつ、私のコラムを無断で韓国語に翻訳した「ニュースプロ」という媒体も同時に告発されました。これは海外メディアの朴政権批判のニュースを翻訳する韓国のネット媒体です。しかし一度家宅捜索をした後、捜査はうやむやになりました。

井沢:つまり「日本人が」韓国政府を非難するのはけしからんということですね。それはあからさまな差別です。どのくらいの期間、出国禁止措置を受けていたんですか?

加藤:約8か月です。はじめに出国禁止措置が出たのは2014年8月7日でした。延長が繰り返され、解除されたのは2015年4月14日です。

◆食事の現場に監視員

井沢:生活や移動は自由だったんですか。

加藤:それは自由でした。が、初めの頃は明らかに監視がついていました。

 実は出国禁止について韓国政府から私に対して通知がなかったんです。私は出国禁止措置が出た2日後の夜、それを知らないままソウルで日本大使館幹部と食事をしていました。チヂミなどをつまんでいると、周囲にあった3つのペアシートのうち、1組が明らかに普通のカップルではありませんでした。入れ替わり立ち替わりで、挙動がおかしい。おそらく検察当局ではなく、情報機関の人間が私の動向を把握して、大統領府に伝えていたのだと思います。

 その食事の最中に日本のメディアの記者から電話がかかってきて「加藤さん、出国禁止になったとニュースで報じられているけど、本当ですか?」と聞かれて、初めてそんな事態になっていることを知りました。

井沢:出国禁止を本人に伝えないとはずいぶんいい加減ですね。監視はずっと続いたのでしょうか。

加藤:それもいい加減で、しばらくすると、監視が付く日があったり付かない日があったり。基準は分かりませんが、徹底されていませんでした。

関連キーワード

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン