国際情報

ハリウッドに異変 大作に不自然な「中国ヨイショ」盛り込み

中国の映画館のHPより(映画『オデッセイ』)

 ハリウッドに「異変」が起きている。多くの大作に不自然に思える「中国ヨイショ」が盛り込まれているのだ。なぜ中国なのか?

「凄く面白かったんだけど、あのシーン、必要だったのかなァ」──。現在、日本で公開中のマット・デイモン主演の映画『オデッセイ』を見た30代男性は、そう首をかしげた。同作は、今年のアカデミー賞で7部門にノミネートされている話題作だが、鑑賞後に首をひねる観客が少なくない。

 映画は、火星でのミッション中に嵐に遭遇して一人取り残されてしまった米国人宇宙飛行士をNASA(米航空宇宙局)が救出しようとするストーリー。

 興味深いのは、救出作戦が困難に直面した際に、中国の宇宙事業を担う国家航天局がNASAに協力を申し出て、国家機密であるブースター(発射台)を惜し気もなく提供するシーン。クライマックスでは、固唾を飲んで救出劇を見守る米中両国の国民が交互に映し出される。

 映画自体は泣ける話なのだが、この「中国が米国を助ける展開」に「なんで中国?」との疑問が続出している。映画評論家の秋本鉄次氏は「以前は考えられなかったストーリー」と語る。

「同作では米国と中国が対等なパートナーとして協力して救出作戦を展開する。これまで中国を旧ソ連と同じく“危険で怪しげな国”として描いてきたハリウッドらしからぬ、まるで“中国に媚を売る”ような物語です」

 原作本にも中国が登場するため、製作元である20世紀フォックスは、「中国の映画ファンを喜ばせるために後付けされたものではない」とコメントしているが、違和感は拭えない。

 よく調べてみると、最近のハリウッド映画は中国を強く意識しているように見える作品が数多くある。

 アカデミー賞7部門を受賞した『ゼロ・グラビティ』(2013年)では中国は米国の「味方」、ロシアが「悪役」として描かれ、中国製の宇宙船が大活躍する。アクション映画『アイアンマン3』(2013年)では、各国で上映されたものより3分間長い「中国版」が作られ、北京市街の光景や中国の人気若手女優ファン・ビンビンが登場する場面が追加された。

 SF映画『ルーパー』(2012年)を始め、上海など中国の都市が主要な舞台となる作品も増えてきている。

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン