スポーツ

人間風車との一騎打ち A.猪木は引き分けG.馬場は意外な完勝

 ジャイアント馬場とアントニオ猪木、ふたりのスーパースターの活躍を軸として日本プロレスの軌跡を振り返る、ライターの斎藤文彦氏による週刊ポストの連載「我が青春のプロレス ~馬場と猪木の50年戦記~」。今回は、“人間風車”ビル・ロビンソンをめぐる、馬場と猪木の闘いをお送りする。

 * * *
 ジャイアント馬場とアントニオ猪木は、闘わずに闘いつづけた。

 いささか抽象的な表現になってしまうが、昭和50年代の馬場と猪木は、リング上では一度も相まみえることなく──プロレスラーとしても、プロモーターとしても──その“実力”をプロレスファンのイマジネーションに訴えかけた。

 少年ファンは、馬場と猪木の動向からオトナの社会の仕組みのようなものを観察し、目の肥えたマニア層は“実力”にもさまざまな定義があることを学んだ。

 猪木とロビンソンの一騎打ちは、猪木ファン、新日本プロレスファンにとっては“実力世界一決定戦”をイメージさせる闘いだった。

 60分3本勝負で争われたNWF世界ヘビー級選手権は、1本目をロビンソンが42分53秒、逆さ押さえ込みで先制。2本目は16分19秒、猪木が卍固めで返し、1-1のイーブン。残り時間48秒でスタートした3本目は、そのままタイムアップ。

 時間切れのドローで、猪木が王座防衛に成功した。

 この試合は、猪木信者だけでなく、多くのプロレスファンがそのテクニックの攻防に酔いしれ、現在もなお語り継がれる名勝負のなかの名勝負となった。

 しかし、ロビンソンが新日本プロレスのリングに上がったのはこの時だけで、翌昭和51年には、ライバル団体の全日本プロレスと契約した。

 これも“夢の対決”としてプロデュースされた馬場対ロビンソンのPWFヘビー級選手権(60分3本勝負)は、意外にも2-1のスコアで馬場の完勝に終わった。

 1本目はアトミックドロップ、河津落とし、バックドロップの大技ラッシュをかけた馬場が9分24秒、ロビンソンをフォール。

 2本目は、ワンハンド・バックブリーカーから逆片エビ固めで6分8秒、ロビンソンのギブアップ勝ち。

 3本目は、馬場がここぞという大一番にしか使わない“よそいき”のジャンピング・ネックブリーカーで5分45秒、ロビンソンを体固めでフォールした。

 決勝の3本目のフォールが“片エビ固め”ではなく、ロビンソンを大の字に寝かせての“体固め”だったところが馬場の完勝モードを強く印象づけた。

関連キーワード

トピックス

真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン