スポーツ

猪木対アリ戦 アリの他愛ない「ホラ」から始まった

 ジャイアント馬場とアントニオ猪木、ふたりのスーパースターの活躍を軸として日本プロレスの軌跡を振り返る、ライターの斎藤文彦氏による週刊ポストの連載「我が青春のプロレス ~馬場と猪木の50年戦記~」。今回は、大会ポスターのデザインを依頼された俳優・石坂浩二も「試合当日まで疑っていた」と振り返った、昭和51年、猪木VSモハメド・アリの戦いに至る道のりをお伝えする。

 * * *
 アントニオ猪木のプロレス生活、というよりも、その人生における最大の闘いが実現したのは、いまからちょうど40年前の昭和51年6月26日のことだ。

 プロボクシング世界ヘビー級王者モハメド・アリとの“格闘技世界一決定戦”である(東京・日本武道館)。

 プロレスの世界チャンピオンとプロボクシングの世界チャンピオンが対決するという“20世紀のおとぎ話”の発端は、それより1年前のアリの冗談とも本気ともつかない非公式のコメントにさかのぼる。

 昭和50年3月、アリはニューヨークで開かれた、あるパーティーの席上で「東洋人でオレに挑戦する者はいないか。ボクサーでもレスラーでも空手家でもだれでもいい。100万ドルの賞金を用意する」と発言。

 アリがこう話しかけた相手は、八田一朗・日本レスリング協会会長だった。

 そこにいた白髪の紳士が日本のアマチュア・レスリング界の“大ボス”だということを知った“大ボラ吹き”のアリが、先制パンチとして放った社交辞令のようなものだったのだろう。

 このアリのコメントが、八田氏のアメリカからのみやげ話のひとつとしてスポーツ新聞に載った。そして──かなりディテールを省略することにはなるが──猪木がアリの対戦相手として名乗りを上げた。

 アリは、前年の1974年(昭和49年)10月30日、アフリカのザイール(現コンゴ民主共和国)でジョージ・フォアマンにKO勝ちし、“キンシャサの奇跡”として知られる歴史的な一戦で世界ヘビー級王座奪回に成功。プロボクサーとして全盛期を迎えていた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
ディップがプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任
気鋭の企業がプロスポーツ「下部」リーグに続々参入のワケ ディップがB3さいたまブロンコスの新オーナーなった理由を冨田英揮社長は「このチームを育てていきたい」と語る
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン