高校時代から、何か真剣にやっていると、同級生から「怒ってる?」と気を遣われたというのもいい話。サイコパス系の悪女のときには、なるべくまばたきをしないのがコツ、と実際にカメラ目線でじーっとアップになっただけで「怖い」と言われて、満足気だった。「驚くほど足が遅い」が、キックボクシングを習って、キック力は抜群。私生活でも顔を殴った相手には「三倍返し」をしたと語った菜々緒。「彼氏にキレると怖そうな芸能人第一位」だった菜々緒。それでこそ、菜々緒である。
思えば、はるか昔(でもないけど)、菜々緒が主演したドラマ『主に泣いています』では、身勝手な既婚男(風間トオル)に振り回される美女の役だった。ここでは確かに恋する役ではあったが、なぜか毎回、子泣きじじいとか、 コスプレしていたのである。その姿には納得して違和感がなかったのに、普通の刑事役でハラハラするって。
菜々緒は一時期、小顔にこだわり、顔の鍼治療をしたり、小顔になるからと親不知を抜歯し、顔が腫れたままテレビに出たことがあったという。『怪盗 山猫』で見ているのは、小顔努力が実った美人刑事。間違った菜々緒ではないか。そう思うだけでハラハラする。いっそ、双子で極悪の菜々緒が出てきたほうがほっとしそうだ。おそるべき存在感である。