国内

首都圏未確認活断層による地震で死者数15万人の最悪ケースも

活断層での地震は予測が難しいという

 4月14日夜9時26分に熊本で発生したM6.5、最大震度7の大地震。さらに、16日未明1時26分に発生したM7.3、最大震度6強が起こる。後に、16日に起こった地震こそが本震であることが報告された。本震は、熊本県の布田川断層帯による直下型地震とみられている。

 断層のなかでも地震の発生源となり得るものを「活断層」という。1995年の阪神・淡路大震災も活断層が引き起こしたもので、活断層の真上にあった住宅や道路などは壊滅的な被害を受けた。

 日本全国で確認されている活断層の数は2000以上。今回の熊本地震もそうだが、厄介なのは、いつ、どの活断層が地震を起こすか、予測が難しいことだ。

 文部科学省「地震調査研究推進本部」の地震予測によれば、地震発生確率が高い(30年以内に3%以上)活断層は陸地内部だけで30か所あり、それぞれの活断層ごとに想定される地震規模(マグニチュード)も公表されている。その中の1つが、14日に発生した熊本地震の「前震」を引き起こした「日奈久断層帯」だった。

 なかでも大きな被害が予想されるのが、大都市圏内の活断層による地震だ。東京を襲う直下型地震として想定されているのは「東京湾北部地震」で、2012年4月に発表された東京都の被害想定によれば、死傷者数最大15万人、建物全壊11万622棟、さらに20万1249棟が火災で消失するとされる。

 だが、さらに恐るべきは、都心部にもまだ完全に調査されていない、未確認の活断層が数多く存在するといわれていることだ。東洋大学教授(変動地形学)の渡辺満久さんによれば、首都圏には政府が認めていない全長120kmにも及ぶ長大な活断層が横たわっている可能性があるという。

「埼玉県本庄市から熊谷市にまたがる『深谷断層』と鴻巣市からさいたま市に至る『綾瀬川断層』について、政府は関東平野北西縁断層帯にある別々の断層だとしています。しかし、私の調査によると、深谷断層と綾瀬川断層は連続している可能性が高いことがわかりました。

 さらに東京都江戸川区から千葉県市川市の江戸川河口に至る活断層も見つかっています。住宅が密集して地形が読み取れない調査未了地域がありますが、それらの断層が1本につながっている可能性は高い」(渡辺さん)

 この長大な活断層を渡辺さんは「想定綾瀬川断層」と命名している。問題なのは、長い断層はそれだけ大きな地震を引き起こすという点だ。

関連記事

トピックス

(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト