ライフ

首都直下大地震 逃げ込むなら超高層ビルか低層ビルか

超高層ビルと低層ビル、どちらに逃げる?(イメージ)

 連日テレビや新聞で報じられる熊本地震の被害状況に、「明日は我が身か」と身構えている人も少なくないだろう。同じ規模の地震がもしも大都市で起こったら、さらなる大惨事となることは間違いない。

 2013年12月に国の有識者会議が発表した被害想定によれば、首都直下型地震による死者数は、最悪の場合約2万人、建物全壊・焼失棟数は約61万棟に上るという。首都直下型の大地震が起きたとき、様々な状況下において我々はいったいどんな行動をとればいいのか。「究極の二択」があなたの生死を分ける──。

【スカイツリーの展望台で、逃げるのは窓際か、中心か】

 地上634メートルの高さがある東京スカイツリー。当然、耐震には最先端の技術が使われている。都市防災に詳しい、まちづくり計画研究所所長の渡辺実氏がいう。

「構造的に壊れないようにできています。ただし、揺れを逃がすために水平方向に1メートルほど揺れるようになっているので、注意が必要です。

 展望台にいる時は、売店の陳列棚やレストランのテーブル、椅子などが動き出す可能性がある。中心にあるエレベータシャフトが最も揺れに強い部分なので、その周囲にある非常階段などの手すりをめざしましょう」

 中心近くに逃げるほうがより安全というのは、高層ビルでも同じだ。

「高層ビルの外壁や窓ガラスは強化ガラスなので、揺れても割れないように作られています。ただし、揺れのためにビル内にあるものが動いてぶつかった場合の計算はされていません。ガラスから離れ、建物の中心部寄りに避難するのが鉄則です」(渡辺氏)

【逃げ込むなら、超高層ビルか、低層ビルか】

 オフィス街や繁華街で大きな揺れに襲われた場合、看板や窓ガラスの破片など、頭上からの落下物で大怪我をする恐れがある。建物に逃げ込む必要があるが、その建物が倒壊したら元も子もない。超高層ビルと低層ビル、どちらが安全なのか。

「高層か低層かというよりも、そのビルが古いか新しいか、つまり1981年以降の新耐震基準で建てられた建物かどうかが問題です。超高層ビルは基本的に新しく、耐震設計がしっかりしているので、安全性からいえば低層ビルよりも確実でしょう」(渡辺氏)

 もし逃げ込む先が低層ビルしかなかったら、建物の中に入ってすぐに柱をチェックすることが大切だ。

「柱にX状もしくは斜めの亀裂が入っていたら、コンクリートの中の鉄骨が断裂している『せん断破壊』という現象が起きている。余震で建物が潰れる可能性があるので、すぐに別のビルに移るべきです」(渡辺氏)

 新橋、神田、上野のような早くからビル街だった地域には危険な建物が多いから要注意。火災で話題になったゴールデン街も「建物が古いので潰れてしまう可能性がある」(渡辺氏)。

※週刊ポスト2016年5月6・13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン