しかし現実は甘くない。3日経って数人から断わりの知らせが届いているのを見て軽くショックを受ける。申し込みから1週間ほど経っても1件もお見合いが成立しない。気落ちする自分に、最初からそう簡単には行かないものだと言い聞かせ、新たな候補を探して見合いを申し込む日々が続く。

 そうこうしていると、自分がアプローチしていない女性から見合いの申し込みが来るという予想もしていなかった展開に。

 心を躍らせて相手のプロフィールをチェックすると、若い頃の酒井和歌子に似た、笑顔が眩しい写真が目に飛び込んできた。北海道出身で、両親は他界していて一人暮らしのアラフィフ女性・A子さんだ。バツイチで子供はおらず、条件的にも問題はないので見合いを即断した。

 場所は新宿にある有名ホテルのラウンジ。こんな緊張感は久しぶりだ。期待に胸を膨らませて待っていると、A子さんが登場した。

 まずはお礼を述べて席につくが、現われたA子さんの容貌に違和感を覚える。あれ? と思いつつ改めて顔を見ると、写真では若々しくにこやかな感じなのに、目の前にいる本人は年齢相応で、写真の印象とはかなり違う。

 この時、申し込みの際に「別料金になりますが、プロフィール写真をスタジオで撮りますか?」と聞かれたことを思い出した。そうか、プロが撮るとこんなにも違うのか……。

 気を取り直して会話を始めたが、なぜか話が噛み合わない。休日の過ごし方では、記者がインドア派に対し、A子さんはアウトドア派。結婚後の仕事について、記者が共働きを希望するのに対し、専業主婦がいいと言うなど、考え方がかなり違う。

 こうなると話題が続かなくなり、互いに息が詰まってくる。結局、見合いは1時間もかからずに終わってしまった(ちなみに、お茶代は通常、男性持ち)。翌日、こちらからお断わりのメールを打った。

 約1週間後、私の申し込みを受けてくれた50代女性・B子さんとお見合いをした。写真で見る限り、容姿はまずまずだ。

 場所は東京駅近くの有名ホテル。今回は写真と実物のギャップはなかった。B子さんは8年前に離婚し、成人した子供が2人いるというが、目をつぶることにした。話をしてみると、食の好みが合うし、何より会話をしていて疲れないのが好印象だ。まだ一緒に生活している姿をイメージできないが、次も会う約束をした。

 前出の業界関係者によれば、「1回目の見合いで結婚が決まる方もいれば、何度も見合いする方もいます。普通は7人以上かかり、多くても20人くらいで成婚され、平均的な入会期間は半年から1年半くらい」という。

 まだ婚活は始まったばかり。焦らずじっくりとやっていこう。

※週刊ポスト2016年5月20日号

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