スポーツ

角居勝彦氏が語るオークス馬シーザリオの早すぎる引退真相

 牝馬クラシック第2弾、桜花賞から距離が一挙に800メートル延び芝2400メートルで競われるGI「優駿牝馬(オークス)」。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、かつてオークスを制したシーザリオが、なぜ早すぎる引退をすることになったのかを解説する。

 * * *
 角居厩舎では2005年にシーザリオ、2008年にもトールポピーが勝っています。特にシーザリオは厩舎に初めて牝馬GI勝利をもたらし、開業以来の目標だった海外遠征での勝利。まさに快挙でした。6戦5勝。あまりに短い付き合いでしたが、濃密な思い出があります。

 鞍上は桜花賞を除いて福永祐一騎手。12月の新馬戦を勝ち、2戦目の寒竹賞が試金石でした。2着アドマイヤフジは皐月賞5着、ダービー4着、その後も金杯を連覇。4着ダンスインザモアもスプリングSを勝つなど、メンバーが揃っていた。そんな中、4番人気で勝ち切りました。新馬のマイル戦、寒竹賞の2000メートルと牡馬相手に快勝したことで、将来への手応えを得たことを鮮明に覚えています。

 そしてフラワーC(圧倒的1番人気)を勝ち、3戦3勝で桜花賞へ向かいます。順調そのものに思えますが、実は“虚弱児”でした。デビューが遅れたのも体質が弱かったからです。

 前脚の種子骨(つなぎの上の球節の骨)に隙間が多く、密度が高まらないまま馬体が成長してしまう。待っていても骨が強く固まらないので、ゲート試験を経てとにかく競馬をしてしまおうと判断しました。

 脚元に不安があったものの、人間の指示をよく聴き、調教もしやすかった。当初は脚のさばきがダート馬っぽい感じでしたが、芝で使ってみると切れのよい走りでした。

 桜花賞では、祐一君騎乗のラインクラフト(1着)にアタマ差で敗れたものの、直線で豪快な追い込みを見せました。おかげでオークスのような長い距離のほうがいいとの感触を得られ、その通りの快勝でした。

 アメリカンオークスでも見事に期待に応えて凱旋帰国。ひと夏ゆっくり休ませようとしましたが、ここでウィークポイントが悲鳴を上げます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン