年初に1ドル=120円台だった為替相場は一時106円台まで円高が進み、急激な円高と軌を一にして日経平均は下落していった。「円高株安」と呼ばれる状況だ。

「一方、マザーズなどに上場している新興企業には、内需系のサービス企業が多く、業績が為替の影響を受けにくい。円高リスクもなく、将来性の高いビジネスに積極的な企業の中小型株に資金が投じられている状況です」(同前)

 為替という要因を除けば、日本企業はまだ“買い”とみられているわけだ。メディアの報道を見ていても、「日経平均=日本経済の実力」という印象を抱いてしまうが、必ずしもそうではない。

「年初からの原油価格の歴史的急落も、企業の実力とは無関係のところで日経平均を押し下げる要因となりました。原油価格が下がると、産油国の財政が悪化し、中東諸国の政府系ファンドが日本に投資していた資金を引き揚げます。そうしたファンドは海外からでも情報が得やすいといった理由から、日経平均を構成する大企業に投資している傾向が強い。

 彼らが投資を手控えるようになると、企業の業績などとは関係なく、必然的に日経平均が上がらなくなるのです。日経平均だけを見て経済情勢を見極めようとすると、局面を見誤りかねません」(同前)

※週刊ポスト2016年6月3日号

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