国内

「司忍組長上京」「実行犯出頭」が同日になった深い意味

報復の連鎖に繋がるのか

 5月31日に神戸山口組系の池田組幹部が岡山市で射殺された衝撃事件はわずか5日で関係者を驚かせる展開を見せた。分裂抗争で対立を続ける六代目山口組系の弘道会傘下の組員が、警察に出頭したのだ。捜査関係者も「実行犯の特定は簡単ではない」とみていただけに、様々な憶測を呼んでいる。これは「報復の連鎖」へつながる序章なのか。フリーライターの鈴木智彦氏がリポートする。

 * * *
 6月5日、六代目山口組の司忍組長が新幹線で上京し品川駅で下車、その後、車で千葉県にある指定暴力団・双愛会に向かった。双愛会七代目継承盃の後見人として出席したのは、おそらく以前から決定していたことだろう。警視庁のリークもかなり前からあって、当方にも「品川駅に行きませんか?」という誘いが数件あった。

 全国紙の記者は「一度も生の司六代目を見たことがないので」と興奮して電話をかけてきた。一般マスコミは警察に釣られ、沸騰した。今回は岡山で神戸山口組池田組の若頭が射殺された直後ということで、とにかく、六代目の直近映像が欲しかったのだろう。

 六代目山口組側も、マスコミ報道を利用しようと思っていたに違いない。六代目側の幹部も、その意図を完全には否定しない。

「あくまで一般的な話だが、抗争の真っただ中にもかかわらず、トップの親分が堂々と出歩けば、組員たちの戦意高揚に繋がる。うちの親分が動じてないと示せるからだ。山口組ほどの大所帯では、トップの姿を雑誌やテレビでしか観られない組員のほうが多い。マスコミは我々の生き死にを面白おかしく飯の種にしてるんだから、公共の電波を使い、無償で勢力誇示をしても罰(ばち)は当たらない」

 上京は煽ってなんぼの夕刊紙や実話系週刊誌にとっても格好のネタだった。これまで静観していた司六代目が本格始動したというわけである。実際のところ、今回の上京でそこまで飛躍するのは暴走だが、あながち間違った見方でもない。

 なにしろ、この日の昼間、岡山で起きた神戸山口組池田組若頭射殺事件の実行犯らしき男が、岡山南警察署に出頭してきたのだ。男は司六代目の出身母体・弘道会系の暴力団員で、自分が殺したと自供した。神戸山口組側は、この日、あくまで個人葬ということで告別式を行なっていたから、同日の同時間に、上京と出頭と告別式の3つが重なったことになる。

 原則論で言えば、司六代目は殺害計画を事前に知らされてはいない。ヒットマンたちの動きをいちいち耳にしていたら、殺人教唆になってしまうし、組織犯罪処罰法にも引っかかってしまうから、余計なことは知ろうとしないし、側近も伝えない。計画的な殺人であっても、決して計画通りには進まない。地下に潜ったヒットマンが殺す気満々でも、ガードが堅ければ順延を余儀なくされる。ヒットマンはいったん潜ったら現場の判断で臨機応変に動く。しかし、出頭はコントロールできる。

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン