岩瀬:翻訳に限らず、すべてをロジカルに考える能力が重要ですよね。そういう能力はどういう教育で身につくと思いますか?
落合:一番いいのは論文を書くことでしょう。ロジカルな文章を書く訓練は、小学生のうちからやっておくべきだと思います。
岩瀬:英語と同様、「プログラミングだけ」を身につけても意味がないのでしょうね。「これからはITだ」と考えて、プログラミングを習う合宿のような教室に子供を送り込む親御さんも多いようですが。
落合:その教室でプログラミングを教えているバイト学生が、その子供の未来の姿ではないでしょうか(笑)。プログラミングができるだけでは、やはり大したアドバンテージにはなりません。それよりも、何をやりたいかを考えることのほうが大事だと思います。
岩瀬:語学もプログラミングも何かを実現するためのツールにすぎないということですね。それで何をしたいのかという構想力を育てなければいけない。
落合:人間にしかできないことは、そういうことです。コンピュータに代替されて、人間のやることがどんどん少なくなっていきますが、それがどこまで進んでも、コンピュータには「モチベーション」がないんです。「何を作りたい」「こんな社会を実現したい」というモチベーションこそ、人間にしか持ちえないものですね。
※SAPIO2016年7月号