コラム

分配型ファンドの今後の分配余力を判断する方法

 日銀のマイナス金利の導入で債券の利回りが低下する中、安定的に高い分配金を出している海外リートファンドに人気が集まっている。2016年4月の資産流入額のトップ10を見ると、海外リートに投資する投信が6本を占める。

 その中で最大の流入額となったのは、フィデリティ投信の「フィデリティ・USリートB」。主に米国の取引所に上場されているリートが投資対象だ。

 倉庫、小売、オフィス・工場、ホテル・リゾートなどさまざまなタイプのリートに分散投資している。人気の理由は高い分配金。直近1年間に1200円の分配を行っている。仮に分配金の金額が今後も変わらないとして、5月18日時点の基準価額4982円で100万円分を購入すると、毎月約2万円、年間約24万円(手数料、税金を考慮しない)の分配金を受け取ることが可能。

 2位も米国のリートに投資を行う新光投信の「新光 US-REITオープン」だ。過去1年間の分配金は900円となっている。

 分配金を重視する傾向は投信全体に広がっている。公募投信が個人投資家に支払った分配金が2015年度の6兆円を超え、過去最高を更新している。株価が乱高下する中で安定収益を求める投資家が増え、分配金を重視した投信が増加していると考えられる。

◆分配の余力がわかる「翌期繰越分配対象額」

 しかし、今後も高い分配金が継続するかどうかはわからない。現在の分配金がどのくらい続くのか──。その判断には、分配金を支払うための積立金「翌期繰越分配対象額」が参考になる。

 分配金は運用の収益から支払われるが、思うような収益が得られなかった場合には、この翌期繰越分配対象額を取り崩して分配をすることができるからだ。翌期繰越分配対象額は、投信の運用報告書で確認することができる。

 前述の「フィデリティ・USリートB」の場合、3月15日時点の翌期繰越分配対象額は、9498円だ。仮に運用による収益がゼロであったとしても、9498円÷100円(現在の分配金)で、計算上は94カ月間、これまで通りの分配を行うことが可能だ。

 投信評価会社のモーニングスターのサイトでは分配余力を指定して投信を検索することができる。例えば投信のカテゴリーを「国際REIT型」にして、分配余力を「24カ月以上」で検索すると、67本の投信がピックアップされる(5月19日現在)。

 それを3年リターンでランキングすると、ドイチェ・グローバルREIT(中国元コース)がトップとなる。日本を含む世界各国の取引所に上場されたリートに投資する投信だ。直近1年の分配金は1800円となっている。投信で高い分配金を狙うなら分配余力もチェックしよう。

※マネーポスト2016年夏号

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