岡口氏がこうした写真を投稿することは元々有名で、騒動後も「誰かと思えば、岡口裁判官じゃねえか。氏の変態画像投稿なんて毎度のことだろ、何で今さら騒ぐんだよw」などの声が出た。ネットでは愛されキャラだったのだ。
ネット上の活動がリアルの生活に波及すると、大抵の人はSNSをやめるか、問題視された発言を削除する。だが、岡口氏は意に介さず、フォロワーが1万数千人増えて、ますます意気軒昂。そもそも個人的な活動をいちいち仕事先と結びつける必要はあるのだろうか。
岡口氏は元々所属先についてプロフィール欄に書いてもいなかったし、具体的な仕事のことは書いていない。あくまでも楽しくプライベートの話を書き、自撮り写真を掲載していたのである。
私は常々ツイッターのプロフィールの「このツイートは所属する組織の見解を表すものではありません」という表記を見ては、なんとくだらん言い分だと思っていた。それは、いちいち予防線を張るそのユーザーに対してと、個人的な活動を規制する組織に対してだ。そしてもっとも大きいのが何らかの不快な発言があった場合、その組織に抗議を入れる一般人のさもしいお客様体質に対して、である。
今回の岡口氏の堂々とした様子と世論を味方につける能力は、この間抜けな風潮をぶち破る一つの契機になるかもしれない。
●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など
※週刊ポスト2016年7月22・29日号