芸能

三遊亭円楽「放任主義の母ちゃんが持ってきた真打のご祝儀」

母の思い出を語る三遊亭円楽

 いくつになっても男にとって母親の思い出は甘美なもの。落語家の三遊亭円楽(66)が現在95歳となった母との思い出を語る。

 * * *
 二ツ目の頃までは母ちゃんも高座を見に来てくれた。でも「ひやひやするよぉ。子供がしゃべっているとトチるんじゃないかと、まわりばっかり見ちゃった。だからもう行かない」って(笑い)。放任主義だから、師匠の弟子になるよと言った時も「そうかい」で終わり。

 その後も「頑張れ」とか言わない。六代目の襲名についても別に話をしないね。だけど真打披露の時に誰よりもご祝儀を持ってきてくれたのが、母ちゃんだったんだ。

 昔の人はそういう時のために、金を貯めていたんだね。それでも何もいわねぇんだよ。「受付に預けてきたよ」ってだけ。精算をすると、「ん!?」ってね。キザなんだよねぇ。贈与税がかかるくらい、黙って置いていった(笑い)。

 俺の名前が「やすみち」で、子供の頃は「ちーくん」。噺家になってからは、「楽太郎」にちなんで「楽ちゃん」になって、それは今も変わらない。

 母ちゃんは今千葉で兄貴と暮らしているんだけど、95になっても酒好きでね。一升のパック酒があると、10日くらいでなくなっちゃうんだよ。朝晩なめながら飲んでるって。

 先代の師匠と、『笑点』の終身名誉司会に落ち着いた桂歌丸師匠を、実の父とは違う“ふたりの父”と言うんだけど、母はひとりだな、やっぱり。父親は引っ張ってくれるけど、母親はサポーター。身二つになるのは、母親しかいないよね。産みの親が母ちゃんなら、育ての親が先代や歌丸師匠なんだね。

 母ちゃんにはもう感謝しかない。だから菩提を弔う準備はできているんだ。お経のひとつでもあげられないと、と思って坊さんの資格を取ったんだよ。

●さんゆうてい・えんらく/東京都生まれ。1970年、青山学院大学在学中、五代目三遊亭圓楽に入門。1977年、27歳で『笑点』大喜利メンバーに。1981年、真打昇進。2010年、三遊亭楽太郎改め、六代目三遊亭円楽を襲名。

※週刊ポスト2016年7月22・29日号

関連記事

トピックス

安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ブラジルにある大学の法学部に通うアナ・パウラ・ヴェローゾ・フェルナンデス(Xより)
《ブラジルが震撼した女子大生シリアルキラー》サンドイッチ、コーヒー、ケーキ、煮込み料理、ミルクシェーク…5か月で4人を毒殺した狡猾な手口、殺人依頼の隠語は“卒業論文”
NEWSポストセブン
9月6日に成年式を迎え、成年皇族としての公務を本格的に開始した秋篠宮家の長男・悠仁さま(時事通信フォト)
スマッシュ「球速200キロ超え」も!? 悠仁さまと同じバドミントンサークルの学生が「球が速くなっていて驚いた」と証言
週刊ポスト
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン