国内

旧華族末裔が集う霞会館 一般人は立入禁止の秘密の社交場

 かつて華族たちが集った社交場が「鹿鳴館」だ。現代では「華族」という身分はなくなったが、いわば「現代の鹿鳴館」とでもいうべき社交場は今も存在する。それが「霞会館」だ。

「ちょうど今日も霞会館で旧薩摩藩士・島津家の親睦会がありました。2年に1度開かれる定例会で、島津家の他に徳川宗家など、旧華族の方々が総勢180人出席し、立食パーティで旧交を温めました。こうした霞会館で行なわれる会合では天皇皇后両陛下にお目にかかることもある」

 7月上旬、本誌記者にそう明かしたのは、1200年の歴史を誇る「旧華族」四條家出身の四條隆彦氏。庖丁道で知られる日本料理の流派・四條司家の第41代当主である。旧華族とは明治以降の貴族階級のこと。そんな旧華族の末裔たちが人知れず集う「霞会館」は、霞が関ビル(東京都千代田区)の34階にある。

 フロアには高級ホテルのようなラウンジがあり、ガラス張りの窓から首相官邸、国会議事堂など日本の中枢を一望できる。ここは“一般人”が立ち入れない社交場である。

「会員資格は皇族、華族の当主と、将来当主となる20歳以上の長男です。当主の夫人、令嬢は利用できますが、原則として会員の許可がないと一般の方は利用できません」(霞会館事務局)

 ちなみに天皇が来る際には一般用のエレベーターが使用禁止になるという。

「男性はネクタイにスーツが原則。あいさつは“ごきげんよう”が基本で、いたる所で“お父さま、お母さまはお元気?”“お宅のご子息とうちの娘はどう?”などの会話を交わしています。日常から離れた特殊な世界は戦前から変わりません」(隆彦氏)

 霞会館の前身は明治7年(1874年)に浅草で発足した「華族会館」。上流階級の社交場として栄えた旧鹿鳴館に移転した後、霞が関に移り、1967年に今の場所に至った。

 現在の霞会館は、日本の伝統文化の継承を推進し、雅楽の講習会などを行なう。毎年1月の新年会、6月の創立記念日と10月の明治天皇の御光臨記念日には、会員が一堂に会するという。

※週刊ポスト2016年7月22・29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン