最高幹部4人とともに、議論に参加していた「OB」については、羽毛田信吾・前宮内庁長官など複数の名前が挙がっているが、有力視されている1人が同庁で書陵部長などを歴任し、今年3月に退職したOBである。現在は宮内庁の非常勤研究員の立場にある。元書陵部長をよく知る宮内庁OBがいう。
「彼は、宮内庁が誇る皇室関連法の第一人者です。現在の関連法規に限らず、大宝律令にまで遡る歴史的な皇室制度や、海外の王室制度にも詳しい。
東大法学部をトップクラスの成績で卒業しながら大蔵省ではなく宮内庁を選んだ異色の職員で、非常に特殊な法体系になっている皇室関係の法改正を議論するのに、彼の知見なしに進められたとは考えにくい」
“5人組”の1人と目されるこの元書陵部長を自宅前で直撃すると、
「いや、(自分が会合に参加しているというのは)勘違いじゃないですか?(他の現役幹部4人とは)格が違いますよ。そんなレベルの高い方々とは。(会合への参加は)ないというふうに考えていただいたほうが……」
と口を噤んだ。
宮内庁は、「生前退位の意向が示されたという報道に関してはコメントを差し控える」(総務課報道室)とするのみで、NHKに抗議しない理由、「4+1」会合の内容やメンバーなどについて、回答しなかった。
いずれにせよ、NHKの報道は宮内庁内部で進められた慎重な議論が下敷きにありそうだ。それは他メディアの報道からもわかる。
撮影■日本雑誌協会代表取材
※週刊ポスト2016年8月5日号