木久扇:聞き取れないほどかすれた声になっていました。このまま声が出なかったらと思うと、つらかったですね。だけどある朝、ベッドから起きて「おはよう」と言ったら、おかみさん(妻のこと)が絶句して、「お父さん、声でたわ」って。
ぼくはいつものかすれた声を出したつもりだったんだけど、先に周りがびっくりして、ぼくはだんだん実感してきて、後からびっくりしたんです(笑い)。ああ、治してもらったんだ、と思いました。
――最後に下半期の目標を教えてください。
木久扇:6月にCDをリリースしたんです。せがれとぼくと孫たち、3代で歌っているんです。『空とぶプリンプリン』というタイトルの曲で、作詞はぼく、作曲は元オフコースの鈴木康博さんです。
『みんなのうた』(NHK)で放送されているんですけど、親子3代で歌うのも咄家が歌うのも初めて。ぼくが描いた絵がアニメーションになっているのですが、絵を描いた本人が歌うのも初めての、初めてづくしです。
ロック調の曲でかっこいいんです。だから『およげ!たいやきくん』『だんご3兄弟』くらいヒットするんじゃないかと思っていて(笑い)。年末は孫たちと紅白に出るのが目標です。
【林家木久扇(はやしや・きくおう)】
1937年10月19日生まれ。東京出身。高校卒業後、森永乳業に入社。のちに漫画家を目指し清水崑を師事した後、三代目桂三木助に入門。1961年に八代目林家正蔵(のちの彦六)門下へ移る。1969年より、林家木久蔵として『笑点』(日本テレビ系)レギュラー。2007年、木久扇を襲名。今年6月22日、親子3代(林家木久扇、林家木久蔵、クミ、コタ)と元オフコース・鈴木康博が歌う『空とぶプリンプリン』リリース。
撮影■浅野剛