芸能

伊藤淳史 競合相手いない「情けないいい人」キャラの強み

伊藤淳史のキャラは唯一?

 NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で、ヒロインの常子(高畑充希)が立ち上げた出版社の経理担当、水田正平を演じる俳優の伊藤淳史(32)。水田は気弱でありつつも素直な性格の人物だが、伊藤といえばこれまでも数多くの作品で「いい人」を演じてきた。有名どころでは、『電車男』、『チーム・バチスタ』シリーズ(ともにフジテレビ系)など。昨年公開された『映画 ビリギャル』では、日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞している。伊藤がこのような役で重宝される理由は、なぜか?

 ドラマ評論家の成馬零一さんはこう分析する。

「かっこいい俳優はたくさんいますが、『情けなくてモテない。でもいい人』という役を演じられる俳優は少ないので、伊藤さんには競合相手がほとんどいません。弱さや情けなさというのは高い演技力がなければ表現できませんが、伊藤さんは自分の演技力を見せつけるようなこともないので、その情けなさが彼の素のキャラなのか、作ったキャラなのかはわからないくらいです。見ている側に演技と感じさせないのは本当にすごいと思います」(成馬零一さん・以下「」内同)

 伊藤のすごさはそれだけではない。その自然な演技の中に、コミカルさを感じさせることができる点だ。

「彼の演じる人物がいつも面白く見えるのは、あの独特の暑苦しさにあります。真面目すぎてちょっとうっとうしい、でも憎めない。部活の後輩にいそうなタイプですね。みんなが軽くナメて見ることができるような存在なので、見ているほうは気楽だし、緊張感もほぐされます」

 30代以上の人にとっては、伊藤といえば「チビノリダー」のイメージがあるだろう。2000年に放送された「カロリーメイト」(大塚製薬)のCMも話題となった。当時から知っている視聴者にとって、伊藤は「永遠の後輩」なのかもしれない。
 
「子役出身の俳優の多くは、どこかのタイミングでイメチェンします。柳楽優弥さんなどは、別人になったのかと思ってしまうくらい変わりました。でも伊藤さんはずっと同じイメージのまま。みんなが伊藤さんのことを『いい人』だと思っています。

 ただ、俳優として『いい人』一辺倒ではなく、シリアスな作品で影のある役を演じることもあります。『無痛』(フジテレビ系)では、破滅に向かう刑事役を好演し、『こんなに幅があるのか』と驚かされました。『わたしたちの教科書』(フジテレビ系)、『家族狩り』(TBS系)などでも、人間の中にある狡さや弱さを見せる芝居をしていました。あくまで基本は『いい人役』ですが、たまにこうやって闇の部分を小出しにすると意外性があっていいと思います」

関連記事

トピックス

復興状況を視察されるため、石川県をご訪問(2025年5月18日、撮影/JMPA)
《初の被災地ご訪問》天皇皇后両陛下を見て育った愛子さまが受け継がれた「被災地に心を寄せ続ける」  上皇ご夫妻から続く“膝をつきながら励ます姿”
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
武蔵野陵を参拝された佳子さま(2025年5月、東京・八王子市。撮影/JMPA)
《ブラジルご訪問を前に》佳子さまが武蔵野陵をグレードレスでご参拝 「旅立ち」や「節目」に寄り添ってきた一着をお召しに 
NEWSポストセブン
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
オンラインカジノの件で書類送検されたオコエ瑠偉(左/時事通信フォト)と増田大輝
《巨人オンラインカジノ問題》オコエ瑠偉は二軍転落で増田大輝は一軍帯同…巨人OB広岡達朗氏は憤り「厳しい処分にしてもらいたかった。チーム事情など関係ない」
週刊ポスト
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
NEWSポストセブン