“ポリ袋漬け”調理とは、素材と調味料をポリ袋に入れ、揉んで漬けたら、後は焼くだけ、あえるだけの簡単調理法。長期保存もでき、洗い物も減らせるので、暑いキッチンに長居したくない夏にはうってつけだ。週末にまとめて作れば、平日の夕食やお弁当作りがグッと楽になる。ポリ袋漬け調理の第一人者で料理研究家の荻野恭子さんが語る。
「ポリ袋漬けは、素材を、ザクザクと食べやすい大きさに切ったら、塩、しょうゆ、みそ、オイル、お好みのスパイスなどと一緒にポリ袋に入れて30秒ほど揉むだけ。食材を生のまま保存しておくよりも日持ちがよくなり、食材に味がしみ込んで、うま味も増します。次ページから紹介する肉、魚、野菜の“基本のポリ袋漬け”を週末に用意しておけば、平日の夕飯をいちから考える手間が省け、家事の時短になりますよ」とは、(荻野さん以下「」内同)。
容器で漬け込むのに比べ、ポリ袋なら、より密閉しやすい分、漬け込む調味料は通常の調理時の約半分で充分。さらに使い終わった袋は捨てればOKなので、BBQなどのアウトドアでも大活躍。洗いものの手間もかからず、節約にもなるのが、ポリ袋漬けなのだ。
そして、まずポイントになるのが、使うポリ袋。袋にも種類があり、塩や酢に強い上、伸びやすく丈夫なのが透明なタイプ。半透明のものは、熱には強いけれど裂けやすく、漬けて保存するには向いていない。
そして、ポリ袋漬けの基本は、食材を買ってきたらその日のうちに作業すること。保存する場合、鮮度が命なのだ。
「生の食材には表面に雑菌が付着していますから、肉でも魚でも洗い流し、よく水分を拭いてから漬け込んで。特に、食中毒をおこしやすい夏場の魚介類は、塩水でさっと洗うことをおすすめします」
ただし、うま味が逃げるので長時間水につけおかないこと。サッと洗うのがポイント。また、肉と野菜など、違う素材を一緒に漬け込むのもNG。各食材から出る水分で傷みやすくなるので、素材は1種類ずつ漬けよう。
「素材は1種類ずつ漬けますが、調味料は“合わせ技”がおすすめ。特に、どんな調味料にも合わせたいのが“砂糖”。うま味やコクを引き出すほか、保水効果があるので、食材を塩だけで漬けた時より、ジューシーに仕上がります」
調味液には砂糖をちょい足しと覚えておこう。それでは、「牛肉のしょうゆ漬け」の漬け方と、それを使ったレシピを紹介する。
◆牛肉のしょうゆ漬け
漬け方:ポリ袋に牛肉(切り落とし)300g、しょうゆ大さじ1、砂糖小さじ1を入れてよく揉み、口を結んで冷蔵庫に30分以上置く。
食べ方:フライパンで焼くだけでもOK。牛肉と野菜の炒めもの、炒飯などにアレンジもできる。
◆夏野菜と牛肉の蒸し煮
【1】なす1本、トマト(小)1個、ズッキーニ1/2本、パプリカ1/2個、玉ねぎ1/4個を、それぞれ2cm角に切る。
【2】鍋にオリーブ油大さじ1、【1】、「牛肉のしょうゆ漬け」150gの順に入れたら蓋をし、中火で約20分煮る。途中、上下の具材を混ぜて入れ替え、塩小さじ1/2、こしょう少量で調味する。
※女性セブン2016年9月8日号