紫外線がシミやしわなど肌の老化を招くことはよく知られている。その延長で頭皮が加齢し薄毛を招くことを知っている人も少なくないだろう。
では、目は? 紫外線は目の表面の角膜を傷つけ、さらに一部は角膜からさらに奥に入り込み、水晶体や網膜にまで届いて障害や病気を引き起こすことは、もしかしたらあまり知られていないかもしれない。
中目黒眼科院長の杉本由佳さんが言う。
「肌と違ってむき出しで外部にさらされた目は無防備になりがちで、直接紫外線のダメージを受けやすい。日本人は欧米人に比べて瞳の光彩の色が濃いため、まぶしさを感じにくいのですが、まぶしくなくても、目は確実に紫外線を取り込んでいます」
8月はサングラスや日傘を使っても、9月になると気にしない人も多い。しかし、杉本さんは「9月がいちばん危ない」と警鐘を鳴らす。
「紫外線は一年中、半曇りの日でも目に入ります。紫外線の量が真夏と同じくらい多いのに、油断しがちな秋こそ気をつけるべきです」
目から入った紫外線は、さまざまな病気を引き起こす。
「紫外線による目の病気は、大きく分けて急性障害と慢性障害の2種類がある」と言うのは金沢医科大学眼科学教授の佐々木洋さん。
「急性障害は肌の日焼けで、皮膚の皮がむけて痛くなるのと同じです。強い日差しにあたると充血したり、紫外線角膜炎といって、目の表面がむけて“びらん”ができて強い痛みを伴います」(佐々木さん)
こういった日焼けを繰り返していると、慢性的な障害につながる。
「白目に黄色いシミのようなものができ、白目の端に突起物ができる瞼裂斑になります。ゴロゴロと異物感があったり、充血したりという症状がでます。また、見た目も白目が濁り、どんよりとした暗い印象になります」(杉本さん)
そして、進行すると失明してしまうこともある白内障を招く。これは目の中にある水晶体というレンズが、紫外線によって酸化して濁ってしまう病気だ。
「水晶体はたんぱく質でできています。普段は水晶体に含まれるビタミンCなどが酸化を抑えているのですが、紫外線によってビタミンCが酸化されると、水晶体内のたんぱく質も酸化され老眼や白内障になりやすくなります。白内障の要因としてはたばこや糖尿病など紫外線以外もありますが、紫外線を多く浴びていると若いうちにかかりやすくなり、早いと40代でなります」(佐々木さん)