国内

石破氏や岸田氏 総裁任期巡って天下分け目の勝負どころ

石破茂氏にとっても勝負どころ

 安倍晋三首相に東京五輪でも晴れ舞台を用意する──。こうした意見も出ており、自民党総裁の任期延長論が浮上するのに伴って、石破茂氏、岸田文雄外相らポスト安倍の候補者たちは一様に異を唱えている。

 いくら反対派が息巻いても、力関係からいえば安倍首相の敵ではない。安倍vsポスト安倍の政策論争であれば勝敗は戦う前から見えている。しかし、自民党の党則で総裁任期は「2期6年」となっている。党則改正はそう単純な構図ではない。

 過去、自民党では総裁任期をめぐって血で血を洗う党内抗争が演じられてきた。結党時の総裁任期は1期2年(再選は制限なし)で、安倍首相の大叔父にあたる佐藤栄作氏の長期政権時代に1期3年に延長された。それが2年に戻ったのは1975年の「三木降ろし」と呼ばれる党内抗争がきっかけだった。

 三木武夫・首相のロッキード事件への対応に反発した田中派、大平派、福田派の3大派閥が首相を降ろそうと工作するが、三木氏は退陣を拒否して総裁任期いっぱい首相を務めた。これに懲りた各派は総裁任期を3年から2年に短縮し、2年ごとに総裁選を行なうことにした。

 その後、ポスト三木をめぐって田中派と福田派の角福戦争、さらに大平派と福田派の大福戦争と呼ばれる熾烈な派閥抗争が展開され、1979年の総選挙で大平正芳・首相が敗北すると、党内は退陣を求める福田派と拒否する田中派・大平派連合に大分裂、国会の首相指名選挙に大平首相と福田赳夫・前首相の2人が出馬する異常事態となった。世に言う「40日抗争」だ。この抗争の“戦後処理”で「総裁3選禁止」の規定が設けられた。

 この規定の後、任期延長を勝ち取ったのは中曽根康弘・首相1人しかいない。中曽根氏は2期4年の総裁任期が切れる3か月前に突然、衆院を解散、衆参ダブル選挙(1986年)に勝利するともう1期(2年)の任期延長を望んだのだ。それに次期総裁候補だった竹下登氏、そして安倍首相の父である安倍晋太郎氏らが抵抗。延長は認めものの、2年ではなく「今回限りの1年延長」に制限された。当時を知る自民党OB議員はこう振り返る。

「佐藤内閣が7年8か月の長期政権を保ったのは多選規制がない時代だったから。いったん総理になるとなかなか降ろせない。その間、お預けを食った派閥領袖たちが任期を短縮し、3選禁止の規定をつくって長期政権を封じた。総裁任期は派閥政治と直結しており、総理の力を強めるための多選規制の撤廃や任期延長は派閥の否定につながるから党内の強い反発を招く」

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン