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大塚家具・久美子社長が語る「母に託された生き方」

 確かに騒動の発端といわれた経営方針の違いひとつをとっても、久美子さんが「イケアやニトリ志向で高級品をやめた」「ファスト・ファーニチャーへの移行を進めた」からだといわれているが、前述の新ビジネスのとおり、まったく違う。

「低価格に変更したというのも間違い。高級品も引き続き売っています。お客様のどんな要望にもお応えするために、若いかたでも買いやすい価格のものから最高級品まで幅広く持っているのが当社の特長なんですね。

 接客も『会員制をやめたらなくなるんですか』と聞かれるんですけれども、それは違う。入り口は入りやすくなりますが、接客がなくなるわけではないんです。お客様のご要望に応じて、ひとりで見たいときでも、しっかり相談したいときでもどちらでも対応できる。それは、今までずっと、ブレずにやってきた基本です」

 父と娘の争いは家族を真っ二つに割った。勝久氏側には千代子夫人と長男の勝之氏がつき、久美子さん側には、次女、三女、次男がついた。

「『大塚家具』は春日部で、家族経営の小さな家具店としてスタートしました。そして1980年に上場し、今では社員も1700人ほどの企業になりました。でも、創業者である父や母にとって、ファミリービジネスでやっていた頃からの地縁や血縁などさまざまなしがらみを断ち切って、上場企業の論理でものを考えるのは難しかった。

 娘としては理解できることであっても『大塚家具』という上場企業の社長としては、どうしても見過ごすことができないこともあったんです」

 ひとつひとつ言葉を選びながらも、事がここに至った理由を、冷静に、あくまで社長としての立場から話す久美子さんの姿は、当時の報道で印象づけられた「会社のためなら親をも切り捨てる娘」というイメージと重なる点もあった。

 しかし、今回改めて彼女の話を聞いていくと、一連の騒動が、家族の相克が複雑に絡み合い、起こるべくして起きたこと。そして彼女が5人きょうだいの長女として、また創業家の代表として、あまりにも大きな重責を背負ってきたことがわかった。

 日本中を揺るがしたあの騒動から1年半。新ビジネス「家具のリユース」発表にあたって、今、初めて明かされる事実。公の場で実の父から「悪い子供」とまで言われた彼女の口から語られる言葉に恨み事はなく、ただただ、上場企業の社長としての責任と重圧があった。

◆子供でも会社を守っていくための共同体の一員だった

 この生き方こそ、幼い頃からの両親の教え。…それは“家具や姫”だからではなく、多くの女性が抱える家族の物語と重なる。

 大塚家具は1969年、埼玉県春日部市で創業。勝久氏は、父親が営んでいた桐タンス工房から25才のときに独立し、千代子夫人と二人三脚で会社を育て上げた。母親は父親のことを家でも「社長」と呼び、夫婦の日常会話も仕事のことばかり。家に仕事関係の人がしょっちゅう出入りするような環境だった。

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