保険の銀歯に使用されている金銀パラジウム合金は、価格が高騰して10年前の2倍になっている。これに目をつけた一部の歯科医が、許されざる不正行為を行なっているとの証言も複数得られた。
「技工指示書では金銀パラジウムと記入して、ニッケルクロム合金を使って銀歯を作らせる歯科医がいます。金銀パラジウムで保険の請求をするので、安いニッケルクロムとの差額が儲けになるわけです。可哀想なのは気づいていない患者さんです」(匿名・歯科技工士)
クラウンの場合、診療報酬が定めた金銀パラジウム合金の材料料は4930円。一方、ニッケルクロム合金はわずか100円なので儲けは大きい。この手口については大阪、兵庫、九州で同様の証言があった。
忘れてならないのは、ニッケルクロム合金の銀歯が、患者に様々な不利益をもたらす可能性だ。
ニッケルクロム合金は、普通の銀歯に見えるが、極めて固く、噛み合わせの歯に悪影響を及ぼす可能性があり、ほとんど使用されていない。発がん性を指摘する専門家もいるし、異種金属によって発生するガルバニー電流の原因にもなる。こうした不正は一部の歯科医だと考えられるが、今も続いていることは確かだ。
「保険の不正請求になる行為なので、加担したくないが、仕事が切られるので断れない」(40代歯科技工士)
※週刊ポスト2016年9月30日号