スポーツ

序の口・服部桜 笑える無気力相撲の裏の笑えない角界事情

無気力相撲はなぜ生まれたのか

 横綱・白鵬が休場したものの、日本人力士が優勝戦線を盛り上げた大相撲秋場所で、密かに話題となったのが、「序ノ口での無気力相撲」だ。3日目のこと。西序ノ口29枚目の服部桜は、錦城(同26枚目)との取組で“明らかにわざと負ける行為”を繰り返した。

 まず、服部桜は軍配が返った瞬間に、その場で両手をついてしまう。突然のことに行司もぽかーんとしながら“立ち合い不成立”として、取り直しに。

 すると2回目はその場でヘッドスライディング、3回目は自分で後ろに尻もちをつき、とにかく、“相手に触れる前になんとか負けたい”ようなのだ。4回目の立ち合いでようやく、相手に両腕を掴まれ、その瞬間に自ら土俵に這いつくばり、行司は対戦相手の錦城に軍配を上げた。

 この取組は動画サイトにアップされ、ネット上でも話題となった。相撲担当記者がいう。

「服部桜は昨年9月場所が初土俵。新弟子検査の時は規定の68kgに足りず1リットルの水を飲んで合格した力士です。デビューから22連敗スタート。一方の錦城はアームレスリング全日本選手権2位の実績がある。服部桜が怖じ気づいたのでしょう」(相撲担当記者)

 服部桜の師匠の式秀親方は、この一番を受けて協会から厳重注意を受けたが、気になるのは服部桜が翌日以降も普通に土俵に上がり続けたことだ。特に懲罰などはないのだろうか。ある若手親方が解説する。

「あそこまで露骨なのはともかく、よくあること。力士になるには年齢と体格制限があるだけで、“プロテスト”はなく、本人が希望すれば誰でも入門できる。一方で部屋にとっては力士養成費、土俵維持費などで、力士1人あたりで1場所30万円が支給されるからとにかく頭数を揃えたい。

 体の大きな有望者がサッカー、ラグビー、柔道などに流れるなかで頭数を揃えたいだけで集めたら、“無気力”な力士だって出てくる。いちいち処分していたらきりがありませんよ」

 服部桜の奇妙な立ち合いの背後には、角界の人材不足と歪な構造という大問題が横たわっているのだ。

※週刊ポスト2016年10月7日号

関連記事

トピックス

母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
日米通算200勝を前に渋みが続く田中
15歳の田中将大を“投手に抜擢”した恩師が語る「指先の感覚が良かった」の原点 大願の200勝に向けて「スタイルチェンジが必要」のエールを贈る
週刊ポスト
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
裏アカ騒動、その代償は大きかった
《まじで早く辞めてくんねえかな》モー娘。北川莉央“裏アカ流出騒動” 同じ騒ぎ起こした先輩アイドルと同じ「ソロの道」歩むか
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン