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2016.10.03 07:00  週刊ポスト

日ロ両国に強い政権 北方領土電撃返還の可能性十分

◆祖父がやり残したこと

 官邸5階の総理執務室の机の上には、常に茶色い表紙の1冊の本が置かれている。『岸信介回顧録 保守合同と安保改定』──。安倍首相はこの回顧録をボロボロになるまで読み返し、祖父の岸氏がやり残した日ロ平和条約に決意を燃やしている。

 プーチン大統領も同じだ。「われわれはすべての隣国とのあらゆる係争問題を解決したい。日本も含めてだ」──10年以上前にそう語り、最初の大統領就任以来、周辺諸国との領土交渉に次々と成果を挙げてきた。

 とくに中国との間では、何度も武力紛争が起きた極東アルグン川の大ウスリー島など3つの川中島をめぐる総面積375平方キロの境界線の画定交渉を秘密裏に進め、面積ほぼ2分割という形で電撃的に決着。ロシアが実効支配していた係争地の半分を中国に引き渡した。この「引き分け(面積等分)」がプーチン方式であり、カザフスタンとの国境やノルウェーとの海上国境でも適用されている。外務省関係者が語る。

「プーチン大統領はこれまでの日ロ首脳会談でも領土交渉について『引き分け』という言葉を何度も使っている。日ソ共同宣言に基づいて歯舞、色丹の2島は引き渡すから、それで決着させたいということ。しかし、2島では北方領土の面積の7%にすぎず、引き分けにはならない。飲めないというなら日本がアイデアを出してくれという姿勢だ。

 そこで水面下では、2島返還に加えて、国後、択捉の日本の主権を認めさせる代わりにロシアに租借する案や、国後、択捉については主権問題を継続協議にして共同で経済開発する案などが浮かんでいる。“2島プラスα”をどこで折り合うかは安倍総理の決断に懸かっている」

 領土交渉(国境画定)には両国の妥協が必要で、どんな決着であれ、双方の国内に不満や批判があがり、それを乗り越えるだけの強い政治基盤が必要になる。

 過去、日本と領土交渉を行なったゴルバチョフ大統領やエリツィン大統領は権力基盤が不安定だった。プーチン大統領が各国との国境画定を次々と決めていったのは、それだけの権力を握っているからだ。安倍政権も衆参で圧倒的な勢力を持つ。

 それだけに日ロ両国に強い政権が出現した今が大きなチャンスであり、12月の日ロ首脳会談で2人が決断すれば、「夢物語」と思われていた北方領土返還が電撃的に決まる可能性は十分にある。

※週刊ポスト2016年10月14・21日号

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