ライフ

「わさびずし」「フリーアナ」騒動 謝罪の拙さが燃料に

大炎上した事件を考える(写真:アフロ)

 ネットでは謝罪したつもりが燃料投下になり、より大炎上するこもある。2つのケースから、食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が考えた。

 * * *
 ずいぶんと長く引っ張るものだ。例のわさびずしの件やフリーアナウンサーの件に象徴される、「インスタントな正義に乗っかる、加速度的匿名ソーシャルバッシング」である。自身が何者かも、責任の所在も明らかにしない。検証もなしに袋叩きにして、また次の標的を探す。なんという不寛容社会だろうか。

 もっともここまで状況を引っ張っている責任が当事者にあるのもまた事実だ。昨今の騒動では標的になった側には、叩かれても仕方のない明確な落ち度があった。

 外国人客相手に大量のわさびを盛り込んだ”わさびずし”の件は、当初差別疑惑で煙が立ち始めていたところに、店側が「すしに多くのわさびを乗せていた件ですが、こちらはそのような事実がありました。海外から来られたお客様からガリやわさびの増量の要望が非常に多いため事前確認なしにサービスとして提供」と説明したことで大炎上。事実を大筋で認めながらも、悪気がないどころか好意でサービスしていたという主張が強引な裏技だと受け止められ、各所から反感を買ってしまった。

 一方、某アナウンサーの件は、ネットやジャーナリズム、社会のあり方について理解の浅いタレントが、人工透析患者やその関係者の感情を逆なでするような見出しを立てて大炎上。苦しい言い訳を続けた結果、テレビのレギュラー番組などからの降板を余儀なくされてしまった。渦中で発表された、詫び文すら番組のスタッフによる代筆だということを何のてらいもなく告白するあたりにも、どうにもならない不適格感が漂ってしまう。

 両者に共通するのは「事実としての落ち度」と、それと相反するような「謝罪のつたなさ」だ。サービス業もタレント業も、客と適切な関係を取り結ぶ必要がある。だがこうしたやらかしには、客との「適切な関係」についての思慮が足りない印象がついてまわる。

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン