昨年11月、東京都教育委員会は児童・生徒が、いじめ等のトラブルや犯罪に巻き込まれず、学習へ悪影響を防ぐための「SNS東京ルール」を策定、発表した。「送信前には、相手の気持ちを考えて読み返そう」など大きなルールが5つあり、それとは別に「SNS学校ルール」と「SNS家庭ルール」を話し合って決めるようにすすめている。
「コミュニケーションの方法を学ぶ場合、最初は家族で、次は同年代の近所の友だち、学校の同級生や先輩、後輩へと広がり、様々な年代の多くの人と少しずつ範囲が広がってゆくのが普通でした。ところが、スマートフォンをもってSNSに登録すると、いきなり世界中とコミュニケーションすることになります。ネットでもリアルと同じように段階的に学ぶべきだという提言も出ています」(前出・高橋さん)
1964年東京五輪が開催される以前、日本の交通事故死者数が激増し交通戦争と呼ばれた。その理由として急速に普及した自動車の安全運転が欠落した交通マナーの悪さがあげられ、警察による学校での交通安全教育が始まったのもこの頃だ。いま、ネットは交通戦争の時代と同じような状態にあるといえるだろう。交通安全ならぬSNS安全を学ぶには、日常的に話題にするのがもっとも効果的ではないかと前出の高橋さんはいう。
「SNSによるトラブルや、事件のニュースが聞こえてきたときに家族で話題にして、自分だったらどうするかを考える機会をつくるのもよいでしょう。スマホを持った途端、いきなりYouTuberデビューしたり、Twitterを始めるのはおすすめできません」
SNSと人間のつきあいは、まだ始まったばかり。子供が交通安全教室などを通して交通安全を学ぶように、SNSとのつきあい方を自然と身につけるようになるまでには、もう少し時間がかかりそうだ。