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消えた「小学校の風物詩」まとめ by NEWSポストセブン

 時代の移り変わりと共に小学校から消えてしまった「風物詩」があるのをご存じだろうか。昔と今で大きく変化した学校の行事や授業内容などを紹介しながら、その背景を解説する。(2016年10月29日更新)

授業内容

 

近隣住民への配慮のために消えたチャイム

︎チャイムは必要最低限

「昔は全部の授業の始業と終業の時に鳴らしていましたが、いまは必要最低限しか鳴らしません。近所から『うるさい』という苦情が来るからです」(教育評論家・石川幸夫氏)

 

︎朝礼で全校生徒が集まることはほとんどない

 近隣への配慮という理由から校庭での朝礼で全校生徒が集まることもほとんどないという。
「各教室でテレビを見ながら、校長先生の話を聞く小学校は少なくない。ちなみに校長先生への挨拶も座ったままの学校がほとんどで、『起立、礼』なんていいません」(石川氏)

「うちのお父さん」の作文が消えた?

︎父・母の日の作文が消えた

「父の日、母の日に向けて作文を書かせることは、ずいぶん前からしなくなりました。片親も多いし、祖父母に育てられている子供もいる。家族を限定しての作文はもう無理です。『自分の家族について』というテーマを出すことはありますが、これは『ペットでもいい』ということになっている」(福岡県・元小学校教諭)

 

︎給食には「特別食」も用意

 新しく生まれたのが給食の「特別食」だ。
「昔の給食といえば、何の疑いもなく、みんなでまったく同じ料理を一緒に食べていた。ところがいまはアレルギーを抱える子供が増えてきたのでそうはいきません。『この子は何のアレルギーか』を担任が把握し、給食ではそのアレルゲンを除去した『特別食』を用意しなければならなくなっている」(大阪府・元小学校校長)

 


学校施設

 

洋式の便座トイレが主流に

︎和式トイレから完全個室の洋式トイレに

「和式トイレの使い方を知らない子供が増え、金隠しの方にお尻を向けてしまう子供が出てきています。だから、間違えてパッとドアを開けると、しゃがんだ状態でこっちを向いている(笑い)。洋式の便座トイレが主流になり、男子でも上から覗かれないような、ほぼ完全個室に変わりつつある。新築の小学校の校舎はほぼそうですね」(石川氏)

 

︎小便器がある学校も少なくなっている

 男子トイレに小便器のある学校も少なくなってきているという。
「男子の場合、小便器と個室があると大便をしていることがすぐにわかってしまうので、学校で大便をしない子供が増えている。大便をすると『臭い』とか『汚い』といっていじめの対象になるからです。だから、学校から家に帰ると一目散にトイレに駆け込む男子は多いんです」(石川氏)

 

︎姿を消しつつある飼育小屋

「さまざまなアレルギーを持つ子供が増えたからです。私がいた学校ではカモを飼っていましたが、鳥アレルギーの子供が入学してきたのを受けて、飼育をやめました」(兵庫県・元小学校教諭)

 

衛生上の問題から砂場がなくなる?

︎砂場も見かけなくなった

 理由は「犬や猫がフンをして、大腸菌が増殖する」という衛生上の問題である。
「学校によっては残っているところもあるようですが、ほとんど使わなかったり、放課後はビニールシートが被せてあります」(東京都・PTA顧問)

 


保護者とのかかわり

︎「父兄参観」「父母参観」という言葉は使わない

 父兄参観や父母参観という言葉が消え、「保護者参観」と呼ぶ学校が増えた。
「これなら父親や母親がいない家庭でも大丈夫だし、祖父母も来やすいですから。ただ、参観に来るおじいちゃん、おばあちゃんが多すぎて、教室の後ろに入りきれないという問題も起き始めています」(神奈川県・元小学校校長)

 

︎家庭訪問で先生は家の中に上がらない

「いまは玄関先での立ち話が主流です。差し障りがあって、『家に上がってほしくない』という保護者もいますから」(石川氏)
 中には、「うちには来なくていい」と拒否する親もいるというから驚きだ。

 

︎クラス名簿や連絡網は消滅

 個人情報への配慮から、クラス名簿や連絡網はすでに“絶滅”状態にある。

 


夏休みの風物詩

︎ラジオ体操をやらない学校が増加

「いまはラジオ体操をやらない学校が増えている。地域によって子供の数が減っていて子供が集まらないという事情もありますが、親が夜勤の仕事などをしている家庭が増えたことも影響しています」(福島県の小学校校長)
 期間を7月中だけに短縮したり、「最終日に来てくれたら景品をあげる」という地域もあるようだ。

 

︎宿題の絵日記は家庭環境への配慮で消える

 宿題の定番だった絵日記は、ほぼ姿を消している。旅行に行けない家庭があるなど、家庭環境に配慮した結果だという。
「うちの学校は絵日記を描かせるのは1~4年生だけ。5~6年生は代わりに読書感想文を書かせる。保護者に思い出づくりのプレッシャーをかけてはいけない」(京都府・小学校教諭)

 

夏休みのアサガオ観察が難しくなっている

︎アサガオの観察日記にも大きな変化が

 1学期の終業式の日にアサガオの鉢植えを持ち帰り、毎日書き続けるアサガオの観察日記も、「いまは1週間に1回、学校に行って観察する。家に鉢を置く場所がない家庭が増えている。近年の猛暑の影響で夏休み前に花が終わってしまうこともあり、夏休みの観察が難しくなっている」(千葉県・小学校教諭)

 

︎全教科の宿題が入った「夏休みの友」は?

「そんな冊子、いまはありませんよ。もともと、各教科の宿題が少しずつ幅広く入っている『夏休みの友』をこなしても学習効果が低かった。代わりに、漢字や算数のドリルなど各教科から宿題を出しています」(福島県の校長)

 

︎「自由研究」は強制ではない

 自由研究は強制ではなく、児童の自主性に任せる。
「県や市などが主催する、科学観察などのコンクールを紹介し、興味を持った子だけがやる形式をとっています」(埼玉県・小学校教諭)

 

「プール開放日」とは呼ばない

︎「プール開放日」は「プール指導日」に

「いまは『プール指導日』です。以前、プール開放日に事故があったことから、開放して子供を遊ばせるのではなく、教師もプールの中に入って水泳の指導をしなければならない」(福島県の校長)

 


運動会

︎子供と一緒に昼食をとらないケースも

 運動会で、グラウンドの周りにシートを敷いて、応援に行った家族と子供が一緒に昼食をとる情景も見られなくなった。
「保護者が運動会に来ない子供への配慮から、うちの学校では児童全員が教室に戻り、保護者が用意してくれたお弁当を食べています」(大阪府・小学校校長)

 

︎昼食時間の保護者の飲酒は厳禁

「昼食の時に缶ビールを開けようとしたら、先生に『保護者もお酒は禁止です』と注意された。正直、ビールくらい飲みたいよ」(東京都・40代男性保護者)

勝手に撮るのはNG

︎カメラや一眼レフでの撮影は許可制

「ビデオカメラや一眼レフでの撮影は許可制です。届け出て名札をもらわないと撮影できません。水泳大会の撮影は一切禁止です」(神奈川県・40代男性保護者)
「『うちの子のほうが早かった!』という親が出てくるので、徒競走のゴール前での撮影が禁止されている学校もあります」(福島県の小学校校長)

 


季節イベント

宗教色があるイベントはクレームが入ることも

︎クリスマス会も七夕集会も消滅寸前?

「クリスマス会も七夕集会も、最近ではやっている学校はほとんどありません。理由は『宗教色がある』から。実際に宗教がらみで強いクレームがくることもありますからね」(佐賀県・教育委員会勤務)

 


卒業式

︎送辞&答辞がなくなっていく理由

「送辞と答辞をなくす学校が増えています。理由は『在校生代表』や『卒業生代表』を決めることが問題だという、妙な平等主義があるから。現在は児童たち一人ひとりが声を出す『呼びかけ』という形に変わっている小学校が多い」(教育評論家・森口朗氏)

 

︎『仰げば尊し』は20年くらい前から歌われず

『蛍の光』や『仰げば尊し』といった歌も、いまや卒業式の「定番」ではないそうだ。
「とくに『仰げば尊し』は、一部の教師たちから『教師が児童より上という考えに則った歌詞だからダメ』という反発があり、20年くらい前から卒業式で歌わなくなった学校が増えました」(森口氏)

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