かつて、アメリカの自動車産業や鉄鋼業が盛んだった地域は今「ラストベルト=錆びた地帯」と呼ばれています。そのエリアを選挙活動で集中的に攻めたことが、トランプの勝因とされていますが、実は市川さん、4歳から13歳までその「ラストベルト」のデトロイトで育った。
だから、その場所の変化を肌で知っている。アメリカの今を実感的に理解している。実際、『ユアタイム』の中で市川さんはデトロイトの町の栄枯盛衰という意味あいも含めて「デトロイト美術館展」のレポートを担当していました。彼女なりの視点がきちんとあるのです。
単に「下手だ下手だ」と叩いて可能性を摘んでしまうのではなくて、原稿を読む役はアナウンサーが担うなどし、市川さんの持ち味や意欲をさらに活かす形で企画化したり番組作りをする方法はいくらでもあるのでは。
奇しくも『ユアタイム』と同時間帯の夜11時台、各局のニュースを見回すと進行役はほとんど女性ばかり。TBS『NEWS23』でキャスターを務めるのは雨宮塔子さん。当初17年ぶりの復帰と騒がれ、高い知名度と実力と美貌と注目されましたが、今では居るか居ないかわからないくらい存在感が薄い。
テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』のメインキャスター・大江麻理子さんは、好きな女子アナランキングで1位になったこともある人気者で原稿はきっちり読む。でも当たり障りがなく独自の視点、意見、色合いを控え、優等生の枠内にきっちり収まっていて、正直面白みに欠ける。
それに比べて市川さんには、格段の独自性と意欲、面白さを感じる。フジテレビはそもそも前番組『すぽると!』などでエンタテインメントとニュースを融合させるノリだったはず。後継番組の『ユアタイム』も個性的な風合いのニュース番組を「強み」として、面白く展開すればよいのでは?
他のニュース番組では見られない、市川さんのこれからの活躍に期待します。