◆「万人平等の教え」が崩れる?

 島田氏が続ける。

「創価学会は、日蓮正宗を1991年に破門処分となりました。しかし、その後も日蓮正宗総本山大石寺にある本尊(通称・板曼荼羅)を崇拝する会員がいたため、創価学会は一昨年の11月に会則を変更して日蓮正宗の本尊を崇拝対象にしないことを決定。独立した宗教団体であることを明確にしました。今回の改訂にも日蓮正宗からの脱却を進めて、『独自色』を打ち出す狙いが読みとれる」

 改訂を報じた聖教新聞に、〈宗教的独自性 一段と明らかに〉という大見出しが付いていたことも、その指摘を裏付ける。

 その一方で、これは創価学会の「原則」を打ち破るものだとも島田氏は指摘する。

 創価学会の教えの原則は「万人平等」だ。創価学会の公式ホームページに掲載される「教学入門」にはこうある。

〈万人を「仏子(仏の子)として尊重していく生命尊厳、万人平等こそが、仏法の精神です。この精神があれば、他人を踏みにじる一切の暴力は生まれないでしょう。このように、万人尊重の原理から、対話をもって社会の変革を実現していこうとするのが日蓮大聖人の仏法です〉

 島田氏が解説する。

「先ほども言ったように、創価学会はもとは日蓮正宗の信徒組織として発足した教団です。池田氏にしても、やってきたことは日蓮正宗のお経や日蓮の言葉などの“解釈”を会員たちに示すことであり、実は教義の中に“池田大作氏の教え”といったものは存在しないんです。

 ですが、前述の通り、創価学会は池田氏を“崇拝の対象”とする方針を強めています。そのため『仏法を学ぶ者は皆平等だ』と教えられてきた学会員の中には、一連の決定に、『本来の教えから外れているのではないか』と疑問を抱く人がいるようなのです」

 創価学会が「組織変革」を急ぐ理由は何だろうか。

「現在の創価学会は、教義の変更など宗教団体として非常に重要な問題について、『これは池田名誉会長がお決めになった』、『認められた』という形でしか発表されていません。しかし、高齢で健康不安が囁かれる池田氏が不在となれば、その権威やカリスマ性によって成り立っていた決定ができなくなってしまう恐れがあります。池田氏の後継者といえる存在がはっきりしていないことも、状況を深刻にしている。

 その事態を避けるために創価学会は、組織変革を急いで行なおうとしているのです。同時に池田氏を『永遠の師匠』や『先生』として学会員の崇拝対象とすることで、ポスト池田時代に移行してからも組織の求心力としての池田氏の権威を保つ狙いがあると考えられます」

 創価学会に取材すると、「(今回の会則改訂は)宗教的独自性を明確に宣言したもの」(広報室)との回答があった。

※週刊ポスト2016年11月25日号

関連記事

トピックス

群馬県前橋市の小川晶前市長(共同通信社)
「再選させるぞ!させるぞ!させるぞ!させるぞ!」前橋市“ラブホ通い詰め”小川前市長が支援者集会に参加して涙の演説、参加者は「市長はバッチバチにやる気満々でしたよ」
NEWSポストセブン
ネットテレビ局「ABEMA」のアナウンサー・瀧山あかね(Instagramより)
〈よく見るとなにか見える…〉〈最高の丸み〉ABEMAアナ・瀧山あかねの”ぴったりニット”に絶賛の声 本人が明かす美ボディ秘訣は「2025年トレンド料理」
NEWSポストセブン
千葉大学看護学部創立50周年の式典に出席された愛子さま(2025年12月14日、撮影/JMPA)
《雅子さまの定番カラーをチョイス》愛子さま、“主役”に寄り添うネイビーとホワイトのバイカラーコーデで式典に出席 ブレードの装飾で立体感も
NEWSポストセブン
審査員として厳しく丁寧な講評をしていた粗品(THE W公式Xより)
《「脳みそが足りてへん」と酷評も》粗品、女性芸人たちへの辛口審査に賛否 臨床心理士が注目した番組冒頭での発言「女やから…」
NEWSポストセブン
12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
宮崎あおい
《主演・大泉洋を食った?》『ちょっとだけエスパー』で13年ぶり民放連ドラ出演の宮崎あおい、芸歴36年目のキャリアと40歳国民的女優の“今” 
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
会社の事務所内で女性を刺したとして中国籍のリュウ・カ容疑者が逮捕された(右・千葉県警察HPより)
《いすみ市・同僚女性を社内で刺殺》中国籍のリュウ・カ容疑者が起こしていた“近隣刃物トラブル”「ナイフを手に私を見下ろして…」「窓のアルミシート、不気味だよね」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情