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【晩婚考現学】42歳由美子が年収1000万円にこだわった結果

 39歳のとき、すがるように婚活サイトに登録しました。ネットはサクラも多いと聞いていましたが、結婚相談所に入るお金はないから。その時に決めたんです、条件は「年収1000万円以上」だけにすると。極端かもしれないけど、お金にこだわったのは、お金に苦しめられてきたからです。人はお金じゃないっていう人って、余裕があるんだと思います。それに1000万円以上稼いでるってことは、「運」も含めて、「持ってる」証拠だと思ったんです。生まれた家も貧しく、綺麗でもなく、要領も良くない私は、そういう人に憧れました。

 が、現実は甘くなくて。年収1000万の人からアプローチされるなんてことは一度もなかった。私からメールをしても返事はない。当然といえば当然なのですが……。

 ちょうどその頃、新たに見つかった派遣の仕事が、それなりに充実していたんです。IT系のベンチャー企業で、若い社員が多いから、中年の私が役に立つことも多かった。同世代の社長ともウマが合ったんだと思います。元来、仕事は嫌いではないので、雑用でもなんでもできることはやりました。薄給だけど、それでも、心の充実が気力を少しずつ蘇らせてくれたように思います。

 社内の飲み会で、私が婚活中だと言うと、「どういう人がいいの?」って聞かれたんです。「年収1000万以上」と即答すると、ほどんどの人にドン引きされましたが、ある男の子が「金だけでいいなら、いるよ、うちの兄」って。「由美子さんと合うかもしれない」って。

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