私が宝塚という化粧や衣装を取り去った途端、誰もがそっぽを向いてしまったような気がして、どうしようもなかったんですよね。そしたら…うつになっていたんですねぇ…。
あるとき友人に、「私さ、なんで生きてるのかわかんなくなった」と言ってしまいました。そしたら彼女がこう言ったんです。
「じゃ、とりあえず私はあなたが必要だから生きててよ」って。軽い調子で。このひと言は、まるでカビのように負の感情が繁殖していた私の心をパンパン!と払ってくれました。
よし、生きよう。まずは人に会って話をしよう。人に好かれることより、自分が人を好きになろう。
たくさんのいろんな立場や職業の人と会って、話して、やっと人としての入口に立てたような気がしたのを昨日のことのように思い出します。
ボコボコに頭をぶつけてやっと今にたどり着いたけれど、だからこそあの時代のことはこう言いたい。
「わたくし、真矢ミキ、軽くうつでした!」
撮影■渡辺達生
※女性セブン2016年12月1日号