アメリカの大学で11年間教鞭を執り、『ビジネスでガイジンに勝てる人、負ける人』などの著書がある生井利幸氏は、「たかが麺の食べ方では済まない問題だ」と指摘する。
「ヌーハラには、相手が日本人だったからという意味合いも少なからずあるでしょう。欧米人は日本ブームに関心を抱く半面、今でも腹の底では日本文化を見下しているところがあります。
日本の近代化が、“欧米化”や“西洋化”だったことも大きい。戦前はヨーロッパ、戦後はアメリカの文化を次第に取り入れたことで、日本独自のアイデンティティの樹立がうまくいかなかったこともあり、日本人は欧米人には反論しにくくなっている面もあります」
もっとも、イギリスやアメリカにも日本のラーメン店やうどん店が進出し、人気店となっている事実もある。そこでは日本文化に倣い、麺を「すする」練習をしている外国人も少なくないのだ。
食に関する著書も多数あり、うどん屋の経営者でもあるコラムニストの勝谷誠彦氏が一喝する。
「ウチの店に来る外国人はみんな日本式で食べていますよ。なんでもハラスメントと問題視してしまうのは、くだらない風潮。ヌーハラを過剰報道しているメディアには、『日本の足を引っ張るな』と言ってやりたい。日本の食文化を理解している人間なら、こんな問題はスルーするはず。日本のメディアには、食に関することは2020年の五輪まで黙っていてほしいくらいだ」
勝谷氏はこう提案する。
「(五輪の)メディアセンターで、小池百合子都知事が各国の記者を前に蕎麦を『ズズズッ』っと食べて、『これがジャパニーズスタイル、OK?』ってやればいいんだよ」
これこそ日本人にしかできない本当の「おもてなし」精神である。
※週刊ポスト2016年12月9日号