• TOP
  • 国内
  • まるで見世物小屋のASKA逮捕 テレビ局は常軌を逸していた

国内

2016.12.03 16:00  NEWSポストセブン

まるで見世物小屋のASKA逮捕 テレビ局は常軌を逸していた

 あの約6時間はいったいなんだったのだろう。反射的に「麻原彰晃」という名を出したが、ASKAはサリンをばら撒いたわけでもないし、もちろん人を殺めたのでもない。

 覚醒剤取締法違反で逮捕されたASKAはたしかに法を犯している。執行猶予中の逮捕なので、こんどは何年もの実刑を食らうのだろう。罪はたしかに罪である。でも、彼は誰かに危害を加えたわけではない。家族や仕事仲間に迷惑をかけまくってはいるだろうが、社会的にものすごい悪事をやらかしたのではない。要は、シャブをやって自分の心身を傷つけただけではないか。

 彼は、相当深刻な薬物依存症の状態にあり、一生つき合い続けるしかない病気の持ち主なのである。刑罰に処して治る病気ならどんどん重罰を課せばいいが、まったくもってそういうお話じゃない。

 マスコミは、アーチストとしてASKAには才能があったと必ず言う。だったら、警察とテレビ各局が結託して舞台設定したとしか思えない、あの6時間の見世物ショーがその才能をどれだけ痛めつけたか、自分らの鈍感な暴力性に1ミリでも気づいてほしい。

 1980年代の公共広告で、「覚せい剤やめますか。それとも、人間やめますか」という有名なCMがあった。ホラーCMとして今でも語り継がれているが、30年前はそういう感覚だった。つまり、覚醒剤に手を出してしまった者は、もう人間とは見なされなかったのである。人間に見えないから、見世物OK、著作権侵害OK、盗撮OKなのだろう……。

 薬物依存の研究と治療の第一人者である松本俊彦医師の『薬物依存臨床の焦点』という今年出た本の中に、上記CMについて触れたこんな一節がある。

<この手の啓発は、覚せい剤にまだ手を出していない人には一定の抑止効果があるかもしれないが、その一方で、社会に「薬物依存症の当事者=人非人」という誤解を植えつけてしまう危険がある。その結果が、各地でダルクを新たに立ち上げるたびにわき起こる住民反対運動である>

 ダルクは、ASKAも入寮したことがあるといわれている、民間の薬物依存症リハビリ施設だ。依存症問題解決にとても大きな役割を果たしている貴重な社会的リソースなのだが、30年前のあのCMの考え方が、まだその活動を阻害しているというのだ。

関連記事

トピックス