国際情報

金泳三政権の愛国キャンペーン「日帝風水謀略精算」とは

大統領がなぜ怪しげな宗教者の言いなりとなったのか

 朴槿恵大統領が親友を国政に介入させたスキャンダルは、ネットを中心に「ムーダン疑惑」として嘲笑されている。韓国の伝統的な霊媒・占い師であるムーダン以上に、風水信仰も現実政治に影響を与えている。それらの「信仰」は、韓国社会にどんな影響を及ぼしているのか、朴大統領はなぜ「ムーダン疑惑」をかけられているのか、産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏が解説する。

 * * *
 金泳三政権(1993-1998年)は「風水共和国」と皮肉られたことがある。愛国キャンペーンとして展開した“日帝風水謀略清算”がそうだ。「日帝が韓民族の精気を絶つため韓国各地の名山に打ち込んだ鉄杭」を、政府組織を総動員して引っこ抜いたのだ。「名山に民族精気が宿る」というのが風水信仰だ。

 日本統治時代の近代化作業(?)として、観測施設や登山施設などに使われた鉄杭に対する“反日言いがかり”だったが、愛国キャンペーンだったため、世論には表立った批判も反対もなかった。この“日帝風水謀略説”は今なお信じられていて、マスコミ報道でも当然のように登場する。

 こんな風水信仰が通用する社会なので、朴槿恵大統領を巡るムーダン信仰説も結構もてはやされる。ただ、そんなウワサの流布も、記者をはじめ人に会いたがらない日ごろの“秘密主義”のツケである。彼女にとって「コンジュ(公主=姫)」と称された閉鎖的人間関係が禍根になった。

※SAPIO2017年1月号

関連記事

トピックス

イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
将棋界で「中年の星」と呼ばれた棋士・青野照市九段
「その日一日負けが込んでも、最後の一局は必ず勝て」将棋の世界で50年生きた“中年の星”青野照市九段が語る「負け続けない人の思考法」
NEWSポストセブン
東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
「鳥型サブレー大図鑑」というWebサイトで発信を続ける高橋和也さん
【集めた数は3468種類】全国から「鳥型のサブレー」だけを集める男性が明かした収集のきっかけとなった“一枚”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン