ふとももに取り憑かれたある写真家の写真展が東京都台東区で開催されている。ふとももの魅力とはなにか、良いふとももとはどうあるべきなのか。大人力コラムニスト・石原壮一郎氏が写真家に迫る。
* * *
のれんをくぐって小部屋に入ると、右にも左にも前にも後ろにも、白く輝くふとももがぎっしり! 膝から下を露天風呂につけていたり和風旅館の縁側に座っていたりなど、温泉にまつわるふとももばかりです。ここは「360度ふともも温泉」。ヒノキの香りのアロマも焚かれています。ああ、身も心もあたたまるとは、まさにこのこと。年末のあわただしさも浮世の面倒なしがらみも、すべてを忘れてリラックスできます。
みなさま、ふとももはお好きでしょうか。いや、愚問でした。ふとももが嫌いな男性など、いるわけがありません。いつも私たちに、トキメキや癒しを与えてくれるふともも。スカートの下で、あるいはブーツやハイソックスの上で、まぶしく輝くふともも。現在、東京都台東区の「TODAYS GALLERY STUDIO」で、そんなふとももに囲まれ、ふとももの魅力を堪能できる「ふともも写真の世界展2016‐17」が開催中です。2016年のゴールデンウィークとシルバーウィークにも行なわれ、計2万人以上の来場者を集めました。
会場には、上でご紹介した「360度ふともも温泉」コーナーも含め、500点以上のふともも写真がぎっしりで、まさにふとももまみれ。こんなに幸せな空間に身を置ける機会は、なかなかありません。並々ならぬふともも愛を感じられるこれらの作品を撮ったのは、写真家のゆりあさん。
ゆりあさんは、5年ほど前からふとももをモチーフに探求と研鑽と撮影を重ね、今やふともも写真の世界にゆりあありと広く知られた存在。撮ったふともも写真は4万5000枚! ふたりのふとももが登場する写真もあるので、推定10万本ぐらいのふとももを写していることになるでしょうか。ああ、10万本のふともも。目を閉じてズラリと並んでいる光景を想像すると、気を失いそうになるぐらい感動します。
早く行かなきゃとあわてて腰を上げていてる人も、ちょっと遠くて行けないなあと落胆している人も、ふとももを愛する気持ちは同じ。ゆりあさんを直撃して、ふとももの魅力をもっと深く感じるための心構えや、今回の展示を目いっぱい堪能するコツを聞きました。ふとももは、そしてふとももの写真は、なぜこんなに魅力的なのでしょう。
「直接的ではなく、想像力をかき立てられるところではないでしょうか。ふとももの写真を撮るときに、けっして下着や顔は写さないのは、自分なりのこだわりというか大前提にしています。写っているものだけでなく、その向こうにあるものも想像しながら見ていただけたら」
街で目の当たりにするふとももにドキッとするのも、まさに想像力をかき立ててくれるからですね。「角度がもう少し変わればパンツが見えるのに」と悔しがるのは、ふとももへの冒涜。そこから広がるイメージ、その向こうにある無限のエロスを感じ取るのが、大人としての矜持であり、より貪欲な姿勢と言えるでしょう。目に見えているものだけを見ていてはいけない。そんな大切なことをふとももは教えてくれています。
もちろん、どのふとももも崇高な存在だしそれぞれに魅力的ですが、写真に撮る上で、ゆりあさんが考える「いいふともも」とは?
「肌の質感は、けっこうポイントですね。しっとりした雰囲気で、大きく引き伸ばしても毛穴などが目立たないキメの細かさ。しかも、やわらかそうで、それでいて筋肉のラインがしっかり出ているふとももが理想的です。女性的なやさしさがにじみ出ていて、かつ内面的な強さも感じられるというか」