コラム

ドル円は月足で「ヘッドアンドショルダー」 1ドル75円も

1ドル=75円までの円高も?

 2016年度上半期の貿易収支は2兆4000億円余りの黒字となり、東日本大震災の影響が本格的に表れる前の水準まで回復した。そのような状況のなか、2017年のドル/円相場はどのように動くのか? バーニャマーケットフォーカスト代表の水上紀行氏が解説する。

 * * *
 ドル/円のチャートを見てみると、大きな下落の可能性を孕んでいることがわかります。ドル/円は月足で見ると「ヘッドアンドショルダー」の形成過程にいます。ヘッドアンドショルダーとは、真ん中に頭(ヘッド)があって、左右に肩(ショルダー)があり、完成して下にブレイクすると、頭と肩の高さ分だけ下がるという、非常にポピュラーなチャートパターンです。

 2014年に9か月かけて、100~106円近辺のレンジ相場によって左肩を作り、2015年いっぱいでヘッドを作り、そして今年の7月から、2014年とほぼ同じレンジ水準で右肩を形成しようとしているものと見ています。従って、左肩と同じぐらいの9か月で右肩を形成するとしたら、2017年3月頃に右肩が完成し相場は動きだすことになります

 もちろんこれはあくまでも見通しであって、もっと早目かあるいは、もっと遅いかは、実際にマーケットを見て判断していくものであって、杓子定規に決められません。

「頭と肩の高さ分」が「肩から下がる」というのが、このチャートパターンのターゲットですが、今回の場合ざっくりと、頭は125円、肩は100円とすると、100円-(125円-100円)=75円ということになります。つまり、今回の上昇相場が始まる前の2011年の水準まで、相場が戻ることになるということです。

 日本の貿易収支の黒字化により、実需のドル買いによる相場の下支えは期待できず、むしろGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)をはじめとする機関投資家が、外債投資でドル売りヘッジをしていないだけに、急落ともなれば、パニック売りが出るリスクが高いと思えます。

 教科書的には、右肩が形成すると下がると言われていますが、このチャートパターンはポピュラーなため、多くのマーケット参加者が売ってくると、極短期間でマーケットはショートとなり、いったん反発する可能性も注意です。

 さらに申し上げれば、絶対に下とは限りませんので、その点もマーケットを見ながら判断していかざるをえません。反転するとしたら、頭と肩の高さの倍、つまり100円+(125円-100円)×2=150円がターゲットになります。ただし、貿易収支も黒字に戻っていますので、150円方向は現実的ではないと個人的には考えています。

 GPIFに限らず、100円に近づくたび、円高を警戒している政府・日銀の姿勢も鑑みると、円高に向かわれると困る人々が多いということを意味しているでしょう。経験上、相場とは“人が嫌がる方”に向かうものです。

マネーポスト2017年新春号

関連キーワード

トピックス

千葉ロッテの新監督に就任したサブロー氏(時事通信フォト)
ロッテ新監督・サブロー氏を支える『1ヶ月1万円生活』で脚光浴びた元アイドル妻の“茶髪美白”の現在
NEWSポストセブン
ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
騒動から約2ヶ月が経過
《「もう二度と行かねえ」投稿から2ヶ月》埼玉県の人気ラーメン店が“炎上”…店主が明かした投稿者A氏への“本音”と現在「客足は変わっていません」
NEWSポストセブン
自宅前には花が手向けられていた(本人のインスタグラムより)
「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》
NEWSポストセブン
10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン
モデルで女優のKoki,
《9頭身のラインがクッキリ》Koki,が撮影打ち上げの夜にタイトジーンズで“名残惜しげなハグ”…2027年公開の映画ではラウールと共演
NEWSポストセブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段どおりの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン