松崎:考えなくていい。事実だけを羅列してくれれば。時系列で、ちょっと手帳かなんか見てさ、どこでどういうことが起こったのか、まず報告してくれる? あなたが考える必要ないんだ。あなたは考えなくていい。僕が全部考えていくから、あなたがどういう事実でこういうふうに変遷していったのか、その変節点だけを教えてくれるかな。
オバ:それ、今、申し上げないと、
松崎:「申し上げないと」というか、考える必要ないんだから。覚えているでしょ? 自分がやってきた事実ぐらいは。
オバ:ですが、急にまとめるのは……ちょっと頭が混乱し、
松崎:うん、混乱とか、そういう問題じゃないですよね。
オバ:すみません。
松崎:「すみません」はいらなくて、クライアントといつ会ったかというのは、自分の手帳に書いてあるでしょ?
オバ:申し訳ございません。
松崎:申し訳はどうでもよくて、そこの時点で、この話がどう変わったのかっていうことを、一つ一つ言ってくれれば、それだけでいい。さあ、言って。
オバ:すみません、手帳にうまくメモしていなかったんです。
松崎:そう?
オバ:ほんとうに申し訳ござい、
松崎:じゃあ、自分の記憶の中でわかっているものだけ、今、そこに書いておいてもらえるかな。
オバ:この紙に、
松崎:その紙に、ペンはこれを使って。事実をそのまま書くだけ、考えるのは僕がやるから、あなたはここでまず手を動かす。さあ、ペンを持って。事実を書いて。今ここで。記憶の断片でいいから。さあ、
オバ:せ、先生!きつくなってきました~。
松崎:ですよね(笑)。