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2017.01.20 07:00  週刊ポスト

75歳へ高齢者の定義見直しで医療費や年金等支出激減

 損失が一番大きいのはやはり年金。元サラリーマンの夫と専業主婦の妻の標準モデル世帯の年金受給額(夫婦合計)は月額約22万1279円だが、支給開始が65歳から75歳に10年延期されると、単純計算で10年分・約2655万円がもらえなくなる。その分、国が払う厚生年金支給総額(23.3兆円。2015年度)は半分に減る。

 次に医療費。現在、70歳以上の1人あたり国民医療費は平均82万円(年間)、窓口2割負担で計算すると年間の自己負担額は約16万4000円だが、これが3割になると24万6000円に増える。

 介護保険の給付(原則65歳から)が75歳以上に引き上げられた場合の影響は深刻だ。

 現在、要介護認定を受けた人がヘルパーの派遣や施設利用などの際に介護保険から支払われる平均給付額は1人月額約15万7000円。年間188万円にのぼる。仮に、70歳で介護が必要になった場合、75歳受給開始まで約1000万円を丸ごと自己負担しなければならない事態もありうる。

 さらに自治体の高齢者向けサービスとして、65歳以上の高齢者にバスや地下鉄乗り放題の「敬老パス」の配布や福祉タクシー利用券の配布、水道料金の減免、鍼灸マッサージ券などが提供されているケースが多い。それらのサービスも対象年齢が75歳以上に引き上げられる可能性が高い。

「かつて年金は60歳支給で、リタイアした後に商売をしたり、ボランティアをするなど第2の人生設計の重要な糧となっていた。それが現在は65歳支給まで引き上げられたが、日本人の生物的年齢が若返っているからまだ65歳から10年くらいは元気で第2の人生を自ら設計できるわけです。

 しかし、75歳支給になると、体が動かない。高齢者年齢を引き上げ、年金や福祉サービスをそれまで与えないというのは、国民の人生設計の選択をなくし、体が動かなくなるまでは会社に奉職しろというに等しい」(北村氏)

 75歳までは「支える側」として負担も強いられる。月額20万円の収入の場合、厚生年金(収入の約18%)、健康保険(同約10%)の保険料の半分が自己負担となり、毎月約3万円を払い続ける計算になる。

 日本の人口のうち15歳から74歳まででほぼ1億人。これが安倍政権が掲げる1億総活躍社会の姿のようだ。

※週刊ポスト2017年1月27日号

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