ビジネス

経済の千里眼 世界のマネーが日米株式市場に集中する理由

「経済の千里眼」の異名をとる経済評論家の菅下清廣氏

 相場の格言に「申酉(さるとり)騒ぐ」という。申年の昨年は年末に「トランプ・ラリー」で株価が急騰した。引き継いだ酉年はどうなるか。「経済の千里眼」の異名をとる経済評論家の菅下清廣氏は、最新著『世界マネーが狙う「大化け日本株」』で、強気の予測を展開している。以下、菅下氏の解説だ。

 * * *
 昨年11月にドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選挙で勝利すると、ニューヨーク株式市場は連日、史上最高値を更新した。日本市場も連れ高して1年あまり続いた調整期をあっさり抜け出した。

 トランプ氏の経済政策は保護主義的であるなどと批判もされるが、大規模な減税や公共投資が好景気をもたらすと期待されている。彼は実業家であり本業は不動産だ。当然、インフレと公共事業には積極的だろう。要は、トランプタワーが値下がりするような政策はやるはずがないのだ。

 ダウ平均株価は近く史上初の2万ドルの大台に乗るだろう。これは、特に日本の投資家には吉報になる。

 インフレ・株高時代が到来しても、世界の投資マネーが安心して買える市場は多くない。EUも中国もマイナス要因を抱える。資源価格はようやく回復の見通しが立ってきたが、私は原油価格の上限は当面、1バレル=60ドル程度までだと予測している。

 したがって投資マネーは日本とアメリカの株式市場に集中する。なかでも日本市場の魅力は一目瞭然だ。

 トランプ相場が始まる直前の2016年秋時点で、日経平均採用銘柄の加重平均したPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)は、それぞれ約14倍と約1.2倍だった。一般的にPERが20倍以下なら“お買い得”の株とされ、PBRが1倍台というのは企業価値がかなり低く評価されていることを示している。

 トランプ相場に入ってアメリカに次いで日本の株価がいち早く反転したのは、つまり欧米先進国から見ても日本株は割安なのだ。その環境は今年に入っても大きくは変わっていない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン