国内

大阪のカジノ誘致 「上方文化の消失」と京都ぎらい著者懸念

大阪の潮流を変えた(松井一郎府知事と橋下徹前市長) 共同通信社

 大阪が元気に見える。USJはディズニーに迫る勢い。日本維新の会はカジノ法制化で、与党と二人三脚を演じた。大阪は地方再生の象徴となるか。話はそう簡単ではない。『京都ぎらい』著者の井上章一氏は、「上方文化」の消失を憂う。

 * * *
 カジノを誘致したがっている自治体は、いくつもある。なかでも、大阪府の鼻息があらい。府知事が、カジノ法案に反対する政党を、とりつく島もなくきりすてていた。そんな姿をテレビの画面で見せつけられ、のめりこんでいるんだなと、あらためて思い知る。

 経済の活性化をもとめる気持ちが、わからないわけではない。しかし、やろうとしていることは賭博である。カジノという名の、モダンな賭場をこしらえようとしているのである。どうとりつくろっても、下品な方向につっぱしっているなという印象は、いなめない。推進をするにしても、もうすこし恥ずかしそうにふるまってほしいものである。

 大阪府ならびに大阪市は、ここしばらく文化行政を軽んじてきた。維新の会が首長の座をいとめたころから、その傾向は顕著になっている。大阪フィルハーモニーへの支援を、たとえば停止した。また、文楽への援助もきりつめている。

 そしてそのうえでカジノの導入に血道をあげだした。上品そうな文化はいらないけれども、下品な金儲けの途はぜひほしい。そんな姿勢を大阪府知事は、あられもなく全国へ見せつけたのである。

 大阪は本音の街だと、よく言われる。えらそうな文化や学芸をむやみにはありがたがらない。何よりも銭勘定を重んじる商売人の都市であるという。この常套句になじんできた人なら、カジノへ傾斜する今の大阪をいかにも大阪らしいとうけとめようか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

熱愛が報じられた長谷川京子
《磨きがかかる胸元》長谷川京子(47)、熱愛報道の“イケメン紳士”は「7歳下の慶應ボーイ」でアパレル会社を経営 タクシー内キスのカレとは破局か
NEWSポストセブン
水原一平受刑者の一連の賭博スキャンダルがアメリカでドラマ化(gettyimages /共同通信社)
《大谷翔平に新たな悩みのタネ》水原一平受刑者を題材とした米ドラマ、法的な問題はないのか 弁護士が解説する“日米の違い”
NEWSポストセブン
広末涼子(時事通信フォト)
《時速180キロで暴走…》広末涼子の“2026年版カレンダー”は実現するのか “気が引けて”一度は制作を断念 最近はグループチャットに頻繁に“降臨”も
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さまの墓を参拝された天皇皇后両陛下(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《すっごいステキの声も》皇后雅子さま、哀悼のお気持ちがうかがえるお墓参りコーデ 漆黒の宝石「ジェット」でシックに
NEWSポストセブン
前橋市長選挙への立候補を表明する小川晶前市長(時事通信フォト)
〈支援者からのアツい期待に応えるために…〉“ラブホ通い詰め”小川晶氏の前橋市長返り咲きへの“ストーリーづくり”、小川氏が直撃に見せた“印象的な一瞬の表情”
NEWSポストセブン
熱愛が報じられた新木優子と元Hey!Say!JUMPメンバーの中島裕翔
《20歳年上女優との交際中に…》中島裕翔、新木優子との共演直後に“肉食7連泊愛”の過去 その後に変化していた恋愛観
NEWSポストセブン
金を稼ぎたい、モテたい、強くなりたい…“関節技の鬼” 藤原組長が語る「個性を磨いた新日本道場の凄み」《長州力が不器用さを個性に変えられたワケ》
金を稼ぎたい、モテたい、強くなりたい…“関節技の鬼” 藤原組長が語る「個性を磨いた新日本道場の凄み」《長州力が不器用さを個性に変えられたワケ》
NEWSポストセブン
記者会見に臨んだ国分太一(時事通信フォト)
《長期間のビジネスホテル生活》国分太一の“孤独な戦い”を支えていた「妻との通話」「コンビニ徒歩30秒」
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(EPA=時事)
《“勝者と寝る”過激ゲームか》カメラ数台、USBメモリ、ジェルも押収…金髪美女インフルエンサー(26)が“性的コンテンツ制作”で逮捕されなかった背景【バリ島から国外追放】
NEWSポストセブン
「鴨猟」と「鴨場接待」に臨まれた天皇皇后両陛下の長女・愛子さま
(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《ハプニングに「愛子さまも鴨も可愛い」》愛子さま、親しみのあるチェックとダークブラウンのセットアップで各国大使らをもてなす
NEWSポストセブン
SKY-HIが文書で寄せた回答とは(BMSGの公式HPより)
〈SKY-HIこと日高光啓氏の回答全文〉「猛省しております」未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し、自身のバースデーライブ前夜にも24時過ぎに来宅促すメッセージ
週刊ポスト
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン