国内

「昭和」では誤報も 新元号を巡る新聞各社のスクープ合戦史

新元号の第一報はどこが報じるのか?

 天皇の「生前退位」の時期とともに、新聞各社が狙っているのが、「新元号決定の第一報」だ。それは、各紙の威信と名誉を懸けた「世紀の総力戦」なのである。

 明治時代に相次いで新聞が創刊された頃から“新元号スクープ合戦”も始まった。明治の終わり、「大正」をスクープしたのは朝日新聞の政治部記者・緒方竹虎だった。

 明治天皇の容態変化に伴い、各社の記者が取材に動いた。天皇に関するあらゆるニュースが求められる中、新元号はとりわけ重要な要素だった。緒方は天皇の諮問機関である枢密院の顧問官を務めていた三浦梧楼と面識があり、彼を自宅で待ち構えて新元号を聞き出した。

 このスクープで名を馳せた緒方は、朝日の主筆まで上り詰めた後に政界へ転身した。

 一方、大正の次の「昭和」では毎日新聞(当時は東京日日新聞)が「光文」と報じる“歴史的誤報”が世を騒がせた。

 当時、新元号選定の担当だった内閣内政審議室長の自宅前には記者がたむろし、深夜まで室長の帰りを待つなど各紙の取材合戦が激化。そんな中、毎日の政治部記者が、「光文」という情報を極秘入手した。

 毎日は天皇崩御直後に「光文と決定」の号外を出し、他社は“世紀のスクープ”に顔が青ざめたという。ところが、その数時間後に宮内省(当時)が「昭和」と発表。一転、“歴史的誤報”となり、編集局主幹が辞任する事態になった。元号の歴史社会学が専門の東京大学特任助教の鈴木洋仁氏が言う。

「元号は天皇の崩御後に『明治天皇』『大正天皇』といった“諡(おくりな)”に変わる。つまり、次の元号は将来の天皇の名前となる。政府は、そのような尊いものをマスコミにスッパ抜かれるのは失態と考えるようになり、新元号は“国家機密扱い”となった」

関連記事

トピックス

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン