昭和から平成に変わる時、スクープ合戦の最前線にいた元朝日新聞政治部長の羽原清雅氏が話す。

「昭和天皇のご病気が明らかになる1年前から2人のエース級記者を専従にして取材を開始した。その後、政治部や社会部の皇室担当記者なども加え、“新元号取材班”を編成。考案者と目された漢学者らに張り付き、プライベートの場にまでついていった。それでも『平成』をスクープすることはできなかった」

 結局、平成は「各紙同着」とされるが、毎日新聞だけが“光文の汚名”を雪(そそ)ぐためか、「正式発表約30分前にスクープ」と主張した。

「毎日は当日の夕刊3版に『平成』と打ち、同4版で報じた朝日や読売より早かったのは事実。ただ、毎日が正式発表より30分早く情報を入手した根拠が薄く、新元号は各社に同じタイミングで行き渡っていたと思う。関係者の間では毎日の部数が朝日や読売と比べて少なく、紙面の差し替えが他紙より容易だったから生まれた“スクープ”だったという意見もある」(前出・羽原氏)

 各社のプライドをかけた戦いは、もう始まっている。

※週刊ポスト2017年2月10日号

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