亀井:アメリカが壁をつくって引きこもる一方で、中国は逆で、引きこもらずに覇権主義とグローバリズムでどんどん外に出てくる。そうなると日本は経済の面で、中国頼りにならざるを得なくなり、中国の覇権主義に飲み込まれかねない。だから、中国と対等の関係を保つには、閉じこもるアメリカの戸をこじ開ける努力をしないといけない。トランプ問題は、日中問題に直結するんです。
石原:アメリカと中国の軍事力の差を比較すれば、空母一つ取っても格段の差があり、南シナ海での中国の覇権主義を力で押さえつけられるのはアメリカだけ。だから、日本が消滅しないようにするには、アメリカの扉をこじ開けて、巻き込んでいかないといけない。
そのためにも日本が自衛力を持つ必要がある。実は防衛予算はさまざまな分野に及んで幅が広いので、軍事力の整備が一番経済的にも効果があるんですよ、経済の振興のためにも。防衛予算をもっと増やさなければならない。
亀井:特にこれからはミサイル防衛ですよ。使いもしないところに金を注ぎ込んで、それだけで国防力を強化したなんていうのはナンセンス。アメリカとの日米安保にしても、見直せばいいんですよ。なぜって、これはミサイル防衛を想定していない時代の安保だから。
沖縄であんなに無理して基地を拡張する必要は全然ない。新しいミサイル防衛のために、日本のどこに基地が必要になるか、新しい視点で考えればいいんだ。それについて日本で協力することがあれば協力すればよし、要らない基地は撤去しちゃえばいい。日本にはミサイル防衛時代に合った科学技術があるんだから。
石原:ノーベル賞ってのはかなりいい加減なものでね。例えば平和賞とか文学賞とか、それから経済学賞も、非常に政治的なんですよ。一番、信憑性のあるのは、やっぱり科学技術の部門です。実は21世紀に入って、日本人が取った科学技術部門のノーベル賞の数っていうのは、ヨーロッパ全体より多いんですよ。
亀井:そうなんだ。
石原:そうですよ。そのぐらい、日本の科学技術力っていうのは進んでいるんです。これは今後、人類の大きな支えになるし、世界のためにも、日本を失うわけに私はいかないと思うし、そういうことを、トランプにはっきり認識させなければなりません。
※週刊ポスト2017年2月17日号