「社長会」に加盟する企業は三菱グループが29社、三井グループが26社。このうち、日本企業の純利益ランキングの上位100社に11社がランクインする。存在感の大きさは圧倒的だ。
三菱グループの社長会「金曜会」は、毎月第2金曜日の正午から東京・丸の内の三菱商事本社ビル21階で開かれ、主要企業29社の会長・社長48人が一堂に会する。
一方、三井グループの社長会「二木会」は毎月第2木曜日にグループ中核企業の社長が集まって情報交換する。両会とも表向きは親睦名目だが、第一線のトップが集まって様々な協議を重ねることで、日本経済の行方に多方面から影響を与えている。
また、財界の意思決定機関ともいえる経団連は、会長の榊原定征・東レ相談役最高顧問が三井グループ出身であり、会長・副会長計17人のうち三菱・三井系が10人を占める。その発言力はグループ内のみならず、財界全体にまで及ぶ。
さらに特筆すべきは近年、三菱と三井が「推進力」を強めたことだ。三菱商事は昨年5月に策定した中期計画で、「事業経営へのシフト」を表明した。三井物産も同様に中期計画で、「次世代ビジネス創造への施策継続と自律的取組の促進」を掲げた。前出・山田氏の解説。
「三菱商事は成長の源泉を投資のみに求める発想を転換し、成長力と将来性のある企業の経営を自らサポートする姿勢を打ち出しました。三井物産も『日本を対象とする価値あるビジネスの創造』を謳い、今後は三菱同様に日本の産業を支援していく方針です。
三菱と三井はリスクを取り、日本の産業を支援する姿勢を明確にしました。今後は、三菱と三井が財閥グループの総合力をフルに活用し、日本経済を牽引することが期待できます」
「組織の三菱」と「人の三井」の力が相まった時、黄金時代が到来する──。
※週刊ポスト2017年2月24日号