◆全球団が「優勝候補」

 この例で見てしまうと、途端にカミネロの今季が不安になってくる。なぜ、キャンプ報道はこれほどまでに“大外れ”が続いてしまうのか。『デイリースポーツ』元編集局長の平井隆司氏が、キャンプ取材の裏側を明かす。

「キャンプ取材の時期だけは『12球団すべてが優勝候補』として報道ができるんです。私もよく、若い記者には『担当チームが優勝する根拠を集めて来い』とハッパをかけたものです(笑い)。

 キャンプの練習風景をルポするだけでは、この時期のスポーツ紙は売れない。だから、ファンが応援するチームが『今年は期待できそう』と思ってくれるような記事を書くしかないんですよ」

 現役のスポーツ紙デスクはこう続ける。

「紅白戦、オープン戦と進んでいくにつれ、各選手の“本当の調子”が分かり始めてきて、ダメなら開幕ローテ・スタメン候補から外れていく。そうなる前に、記事の見出しも徐々にフェードアウトしていくのが恒例なんです」

 なんとも潔い証言だが、野球記事を読んで、“本当のチーム力”が知りたいと思うのもファン心理だといえよう。野球評論家の広澤克実氏はこう評す。

「実戦練習をしていない現段階での評価は難しいですが、カミネロの獲得を含め、巨人の補強はピンときません。澤村(拓一、28)を信頼していればカミネロは獲っていないでしょう。澤村、山口(鉄也、33)、森福(允彦、30)、マシソン(32)、カミネロでリリーフを回すつもりのようですが、みんなが良いところで投げられるはずもなく、誰かが敗戦処理となる。それじゃあ補強したようでしていないようなものです」

 春の“打ち上げ花火”に胸を躍らせていると、開幕した後の落胆はより深くなるので、ゆめゆめご注意を。

※週刊ポスト2017年3月10日号

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